かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

東大寺のなりたち

2018年08月11日 | Books
今日は、ゴルフ。
一時期の暑さは、台風で少し収まったが、まだまだ暑い。
スコアは、ボチボチ。



本書も岩波新書の新刊。
流石、しっかりした本だった。

著者は、東大寺で得度を得たインサイダーだが、イスラム史を専攻されるなど、お坊さん一筋ということでもない人生を歩まれたようだ。
その集大成とも言える本だと思うが、このサイズに、見事に東大寺の平安時代書紀までの歴史をまとめあげた。

読むと、奈良時代以降の歴史と東大寺の歴史が、まさに表裏の関係であったことがわかる。
東大寺というと聖武天皇だが、その前から歴史があったのではないかとの議論から始まる。
そして、聖武天皇の大仏建立にかかる話は、結構知られるが、そのディテイルまで踏み込んでくれる。
その後、藤原氏の台頭、天皇家の血統の入れ替わり等があり、東大寺の地位は、必ずしも、万全ではなく、長岡京、平安京遷都、大仏の首が落ちて損傷するなど、様々な事件が起こり、その地位は危うくなる。
しかし、その首が元に戻され、盛大な式典が催され、東大寺は復権し、東大寺の第一章は、完結する。
見事な運びと思った。

中に、様々な資料の写真が掲載されているが、みな当時の歴史上の人物の直筆である。その書状から、当時者達の、書をしたためた時の心境なども思い起こさせてくれる。
これは、考えてみるとすごいことで、世界で、1,200年以上前の人物の直筆がどれほど残っているのか。

古代史の魅力を余すことなく浮かび上がらせてくれる新書と思う。
コメント
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