かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

特撮と怪獣

2022年05月26日 | TV Program
今日も、日中は、まずまずの天気。
夜から、崩れるようだが。



本書は、先日の庵野さんの展覧会でゲット。
恥ずかしながら、その存在を知らなかった。

元々は、1995年に出た本だが、絶版になっていて、2021年、改訂され再発売されたそうだ。
すばらしい本だった。

成田さんの名は、円谷さんや、金城さんに比べ、あまり知られてなく、私も、たぶん20年前に知ったぐらい。
ところが、本書を読むと、近時のウルトラブームは、成田さんの貢献が一番大きかったのではないかと感じられる。
もちろん、円谷さんの特撮技術や、金城さんの魅力あふれる脚本も大きいのだが、あのウルトラマンや怪獣たちの造形がなかったら、これだけ長く愛され続けることはなかったのではないか。

成田さんへのインタビューをまとめた形になっているが、生い立ちから、美術(特に、彫刻)を目指し、特撮にシフトし、でも最後彫刻家としての活動も評価された。
この彫刻家としての素質、経験がなければ、このウルトラマン、怪獣群の造形は、生み出されなかったのではないかと思われる。

本書によれば、最初の傑作は、ガラモン。
カネゴンも別のジャンルになるかもしれないが、傑作。
ケムール人の顔は、シンクロナイゼーションの技法を活用している。
ピカソからは逆遠近法を学んだという。
ウルトラマンの造形も、ほとんど無から、50年以上愛される造形を作り出したことが語られる。
カラータイマーに反対した話、ウルトラセブン役の顔が大きかったため、7等身にできなかった話、バルタンは、あまり好きでなかった話など、貴重な話が満載だ。
ウルトラマンや、ウルトラセブンの眼の穴の経緯も語られる。

その他、普通の映画でも、背景の絵や、街のミニチュア模型や、傑作を作られており、もう一度見てみたいと思う。

成田さんが文句を言っているのは、これだけの仕事をしたのに、ほとんど著作権的な収入が得られなかった点。
青色ダイオードの件を思い出す。
裁判を起こせば、もう少しお金を得られたかもしれないが、円谷プロは、芸術家肌の集団で、企業経営的には、厳しい状況が続いており、成田さんもそこまでする気はなかったようだ。
著作権という概念がまだ低かった時代だった。
石森章太郎は、最初から得られた収益の30%という契約をしたため、正当な収益を得られたという。

何気なく見ていた映画の名前も多く出ているので、DVDを見直してみたい。
成田さんの名のクレジットさえ無い作品も多いという。

後に、成田さんの成果を自分の成果のように話す業界人が多いのにも辟易されている。
ウルトラマンの造形は、成田さんがほとんど一人で編み出したもの。
その他の怪獣も、ほとんど造形についての指示はなく、怪獣の性格や、元の怪獣の着ぐるみを指定され改造するよう言われただけだったという。
なるべくシンプルな姿を目指したので、その後、ゴテゴテした怪獣についての評価は低い。
妖怪と怪獣の違いも大事にしており、怖いもの、グロテスクなものにならないように常に注意したというが、これは、円谷さんの考え方によるところも多いかもしれない。

成田さんのような芸術家出身の職人がいたから、50年以上愛されるキャラになり、シン・ウルトラマンが生み出されたことを思い知らされた。
特撮ファンは、必読の1冊だと思う。
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浅野祥さん

2022年05月25日 | Music
今日は、完全に初夏の陽気。
天気くずれるんじゃなかったっけ?



昨日のJUJUさんのコンサートの前、もう一つ津軽三味線のイベントに参加する機会があった。

津軽三味線については、一度パーティの余興で、見たことがあったが、このように間近に説明付きで見るのは初めて。
インパクト大で、かつおおいに勉強になった。

講師兼演奏家は、浅野さん。
実は、高校・大学の後輩になる。
31年後輩だが。

様々な津軽三味線のコンクールに優勝し、完全に第一人者。
今は、グローバルに活躍されている。
小さい頃から、興味を持ち、弘前で行われる全国コンクールにも毎年参加したが、最初は、宮城県出身ということで、採点もしてもらえなかったという。
閉鎖的な世界だった。
今や、津軽出身の演奏家はほとんどいなくなり、宮城県出身者が一番多いのだという。

元々三味線は、亜細亜から沖縄に伝わった三線が、京都に伝わり、三味線となり、琵琶と共に様々な日本芸能に発展していったという。室町時代のこと。
ところが、津軽三味線ができたのは、明治維新以降のことで、新しい分野となる。
これは、意外だった。
たたきという叩き込むような奏法が特徴。
高橋竹山が海外で評価されたことをきっかけに人気に火がつき、三橋美智也で民謡ブームが訪れた。
ちなみに高橋竹山の音は必ずしも大きくなく音澄(ねずみ)三味線とも言われていたとのこと。

浅野さんは、フランスのリモージュというところで、リュートとのレコーディングをしたことがあったが、会場がお城で、なかなか難しかったという。
石作りの家は、リュートのような繊細な音に似合う。津軽三味線では音が大きすぎて、メロディが聞こえない。
スペインではフラメンコとの共演、アルゼンチンでは、タンゴとの共演を果たしたという。
伝統的な奏法にこだわらず、つま弾いたり、ストロークしたり、自由な奏法をとる。
かなりワイルドな演奏に見える。

三味線は、細竿(長唄)、中竿(清元)、太棹(義太夫、津軽三味線)に分かれるが、皮は猫、木は紅木(硬い)、撥は、べっ甲、犀角、その他象牙、生糸などが使われており、なかなか海外に持ち出すのが難しく、特にアメリカがうるさい。
そんな中、来年は、カーネギー公演を控えているというが、本物の三味線が持ち込めるか、難しいところ。
湿気や、気温で、音程、音色が変わるので、現地調達も難しいのだという。
現在、津軽三味線を手造りできるのは日本に一人しかいないとのことで、その伝承もたいへん。
皮を張るのに、米糊が使われていて、それが、湿るのを防止するため、上面のみ、デコレーションをするのが、唯一、演奏者のおしゃれのできるところとのこと。
浅野さんは、当然津軽塗のデザインだった。

演奏曲は(たぶん)、
津軽よされ節
津軽あいや節
津軽じょんがら節(旧節)
リベル・タンゴ
秋田にかた節
津軽じょんがら節(新節)

浅野さんは、各地の民謡発掘にも取り組んでいて、地方公演に行くと、地元を歩き回るとのこと。
例えば、愛媛に行くと、宇和島さんさがあり、伊達本家のさんさと対比させると面白い。
6万もの民謡があるそうだが、どんどん忘れ去られつつある。
NHKラジオで、民謡をどうぞという長く続いている番組があり、その放送作家もされている。

津軽三味線という日本の伝統芸能をこれからも世界に広げていってほしい。
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JUJU HALL TOUR 2022 不思議の国のジュジュ苑 -ユーミンをめぐる物語ー

2022年05月24日 | Music


今日は、人生初のJUJUさんのコンサート。
以前、JAZZコンサートに行こうと思った時は、チケットがとれなかった。
こちらは、ユーミンの曲のカバーCDの特典申し込みで、チケットゲット。
コンサートの前に、山下公園から、ちょっと港の方を見てみた。
平和な光景が広がる。



後から知ったのだが、大桟橋には、トム・クルーズが、トップガンのプロモーションに来ていたようだ。
第一弾は、シカゴに赴任するちょっと前で、今さら、続編が出るとは思わなかった。



お花畑。
横浜ではこの時期、いたるところにお花畑が作られ、街を活気づけている。
明るい横浜に似合う。



会場は、おなじみ県民ホール。
ソールドアウトだったが、あまり混雑した感じではならなかった。
観客は、JUJUファンと、ユーミンファンと半々?



今回は、既に紹介したJUJUのユーミントリビュートCDをテーマにしたコンサート。
松任谷夫妻が、全面協力。
NHKでも経緯の特番があった。
ステージの作りもユーミンのコンサートを思い起こされるものだった。



ステージは、ユーミンのコンサートよりややシンプルながら、JUJU の美声でカバー?
ほとんどがユーミンの曲。たぶんCDに収録されている曲。
JUJU のオリジナル曲はあまり知らないのだが、ネット情報によれば、光の中へ、鍵穴、奇跡を望むならの3曲を演奏。
アンコールの1曲目で、オリジナルの新曲の花も披露された。
CDを聞いた時も感じたが、ユーミンの曲を完全に自分の物にしている。
バックには、ストリングス4人と、コーラス2人も。
ダンサーも6人と豪華。
これからもユーミンを追求すると宣言。

長いツアーのまだ2回目だが、完成度は高かった。
MCもこなれており、アリスの不思議の国と、ユーミンの作り出す世界をかぶらせたストーリーになっている。
大満足。
もうほとんどユーミン?



コンサートが終わったら、ちょうどベイスターズの交流戦第一戦が終わったところ。
強敵ホークスを相手に逆転勝ちで大盛り上がり。



お土産のポップアップ本。
コンサートのコンセプトを、ユーミンの詩とビジュアルで表現している。
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世界遺産の日本史

2022年05月23日 | Books
今日もまずまずの天気。
この時期、梅雨入りまでが、1年でも一番いいシーズンかもしれない。



佐藤信さん編集の古代史本は、ずっと読んできた。
今回は、古代史に限らず、世界遺産という切り口での編集。
著者は、ばらばらだから、各遺産によって、書きぶりが異なるが、逆に面白いし、世界遺産の紹介本としてはオーソドックスではない章にも、新鮮さを感じた。

ここで取り上げられているのは、日本の世界遺産全てではなく、歴史や、文化に関連する世界遺産のみ。
取り上げられている世界遺産には、一部のものも多いが、全て行っている。
佐渡島の金山も申請予定として取り上げられているが、ここには行ったことがないので、近い内に訪れたい。

本書で、発見したこと、思い出したことをちょっと箇条書き。
そもそも世界遺産は、変遷はあるものの、ユネスコの定めた基準に基づいて選定されるため、日本の世界遺産をつなげても、日本の地理、歴史がカバーされるものではないことに留意が必要だ。

宗像・沖ノ島の章では、宗教的な意義について語られるが、当時、神郡といい、その郡からの収入を神社のものとする制度があったそうで、伊勢神宮、安房神社、出雲大社、宗像神社、鹿島神宮、香取神宮、日前宮(和歌山)の7社が対象であったという。日前宮にはまだ訪れたことがないので、早い内にお参りしたい。
福津市に宗像氏の営んだ墳墓群があり、新原・奴山古墳群と呼ばれているそうで、ここも訪れたことがないので、近くに行く機会があったら、是非立ち寄りたい。

法隆寺の柱に見られるエンタシス状のふくらみは、ギリシャの影響と理解していたが、「他人の空似」と否定されてしまった。
間をつなぐ地域・時代に同様の建築技術がないという。
確かに。

奈良の平城京は、木造建築によって当時の姿を伝えている例がない点と、山と森が一体となる景観が保全されている例がない点が極めて貴重という。
これも、言われてみればその通りで、それが、我々が憧れを感じる理由だろう。
遷都により、その後の開発から取り残されたことで、残されたのだが。

京都も多くの寺社がある中で、選ばれた寺社が世界遺産の対象になっているが、その切り口は、首都・宗教建築・庭園という。
確かに、基準を設けないと、選定対象に切りがなくなってしまう。

紀伊山地の霊場については、仏教が日本独自の発展を見せた点と、カバー範囲が広大なところが特徴。
世界遺産の申請する中で、微調整が行われた。

富士山の指定経緯もユニーク。
自然遺産で申請したところ、通らず、文化遺産で申請し、通ったことは有名。
元々、自然遺産と文化遺産の両方の価値を持つ遺産は多いのだが、選定チームが異なるため、合わせ技が難しい。
その中で、文化遺産を前面に出したことが効を奏したが、自然遺産としての価値も大きいことは当然理解されている。

長くなってきたので、端折るが、琉球王国の城(グスク)群については、まず、沖縄の江戸時代までの歴史を理解する必要がある。
考えてみれば、ほとんど知らなかった。

日光の社寺については、頼朝、家康が、深く信仰したことにより、その価値が大きく高まった。
雄大な自然と相まって、すばらしい世界遺産となった。

広島の平和公園には、もともとセントルイスにあるような巨大なゲートがデザインされたそうだ。
建築が難しく、今の慰霊碑になったとのことだが、ずっといい。
禍転じて福となすの典型か。

明治の近代遺産については、当初薩長地域が対象だったが、範囲が全国に広げられた。
たぶん調子に乗った安倍政権への忖度が働いたのではないだろうか。
その後の議論で、日本全国に対象範囲が広げられ、東亜細亜に、産業革命が一気に導入された特異性を理由に、選定された。

合掌造りについては、事前に地元に相談がなく、寝耳に水の認定だったとのこと。
確かに、行った時も、団体客の扱いに苦労している様子だった。
ただ、この景観が残されたのは、ごく一部で、移築されたものも、ほとんど維持できず、取り壊されてしまったという。

富岡製糸場の話も面白かった。
製糸に近代的な手法を導入した好事例として認識していたが、この製法が必ずしも、どこにでも通じるベストな方法ではなく、富岡製糸場でも試行錯誤を続けたし、他の地域では、他の製法を用いたりもしたそうだ。
三井G→原財閥→片倉工業と引き継がれたことも知った。
片倉工業は、一企業でありながら、当時の姿を維持した意義は極めて大きい。

まだまだ書いておきたいことがあったが、この辺で。
日本の歴史、日本の世界遺産に興味のある方には、絶好の書。
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無限の大宇宙

2022年05月22日 | The Beatles
今日は、ゴルフ。 雨も上がって、コンディションは、最高に近い。 ショットはぱっとしない感じだったが、大きなパットミスもなく、バンカーゼロで大たたきもなく、スコアは、まぁまぁ。



YOKO ONO リイシューシリーズの第2弾3作品の内の一つ。
YOKO ONOの最高傑作と言われるが、聞くとわかる。
アバンギャルド感覚はほとんどなく、ロックアルバムとして普通に聞ける。



1973年の作品で、アメリカ政府との対立は続き、ジョンとの関係も少しおかしくなってきたころの作品になるか。
それを匂わす楽曲もある。

ただ、彼女自身によるライナーノーツを見ると、女性の自立に関する言葉でいっぱい。
それから50年経っても、この状態というのは、いかに世界が保守的であったかということか。
確かに、日本でも雇用均等法ができて久しいが、まだまだ。
政治や、大会社が変われなかったのが大きいか。



バックは、エレファンツメモリーで、ジョンのアルバムを聞きなれている人は、当時の音とすぐわかる。
演奏は結構荒っぽいし、遊び感覚も。
日本語も飛び出す。



曲はバラエティに富んでおり、楽しめる。
英語の歌詞は、やはり日本人ということで、メロディへのなじみ方に若干難を感じるが、歌詞の内容にこだわりが強かったともいえる。
ジョンも積極的に製作にかかわっている。
ボーナストラックでは、ジョンがアドバイスしている声も収録されている。
この日本版のライナーノーツも充実していて、帯まで復元。
こだわりの2枚組になっている。

YOKOの代表作にふさわしい。

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