ある刑事事件。
第1審で実刑となった事件の控訴審を担当することに。
事実関係に争いはなし。執行猶予を取るためには、被害者との示談が大前提。
事案からすると、単にお金を払うだけでは足りず、被害者に許してもらうことが必要でした。
被害者にお手紙を送り、電話をかけて説明。
しかし、慰謝料に充てられるお金が少なく、また、ご本人の気持ちも収まる様子なし。
その後も、何回かお電話するも、進展ありませんでした。
結局、示談ができないまま、判決当日。
被告人は、刑務所に入ることを覚悟していました。
すると、朝、被害者から、事務所に電話がかかってきて「示談に応じます。」と。
示談書の文言も、こちらに任せてくれるとのことでした。
裁判所に事情を説明して判決を延期してもらい、その後、示談が成立。
最終的に、控訴審判決において、実刑から執行猶予に変更となりました。
被害者の心境が変わった理由は、分かりません。
慰謝料の金額は大したものではなく、お金が欲しいからではないです。
振り返ると、自分の「三意」が少しは通じたのかもしれません。
被害者が「知りたい」「教えてほしい」と言われたことは、包み隠さず説明しました。
途中、被害者の人生相談みたいな話にもなり、立場を離れて話せたことも。
そうはいっても、運が良かったのだと思います。
相手の気持ちを確証をもって把握できることの方が少ないでしょう。
そうした時、「三意」の考えに立ち戻ると、自分のすべきことが見えてくるのではないか。
ブログを書きながら、そう感じました。