17期 錦織です。先日参加してきたデザインシンキングのワークショップセミナーでの体験を踏まえ、ロジカルシンキングと比べながら、所感を述べたいと思います。
まず、参加したセミナーの主な、デザインシンキングの要件は、以下の3つでした。
①問題解決思考、②プロトタイピング(思考の可視化)③イノベーティブ
というもので、その要件を踏まえ、その思考力を鍛えるというものでした。
前半の3セッション(各15分)はプログラムされたテーマと切り口での思考トレーニング。後半3セッション(各15分)は、はランダムに選ばれるフリーテーマに対しての思考トレーニングをしていくもので、当日は、そのセッションにおいて、解決まではもとめず、とにかくアイデアを出しまくり、KJ法にて、整理していくということまでをやり、思考力をトレーニングする、というあまり普段参加しないタイプのセミナーでした。
前半は、マイナンバーとプライバシーについて、普及後に起こる問題、というものに対して、環境分析、解決策、波及する問題点、リーダーとなりうる企業などについて、複数名で共創していくというものでした。
これらを踏まえ、従来コンサルに必須なロジカルシンキングと比べてみたいと思います。
①問題解決思考
これは、デザインシンキングも、ロジカルシンキングも、同じ思考なのではないかと思います。ただし、個人的な解釈としては、違いがありまして、デザインシンキングは、結構本格的なものだと、エスノグラフィ的に被験者の日常を追跡し、行動、思考を記録して分解していきます。その中で、被験者が別段問題と思っていないことについても、細かく要素分解し、KJ法などで整理し、実感していなかった問題として仮説立てるというものがあります。
一方、私の解釈では、ロジカルシンキングには、そういった検証をもちいて、問題を整理、仮説化する、というまでの問題解決というのはしないのかな、と思っています。どちらかといえば、データ上見えてくる問題点を論理立てて行くというイメージでしょうか。
②プロトタイピング
ここは、ロジカルシンキングを実践する方、次第になるかと思いますが、ロジカルシンキングには、プロトタイピングする思想はないのではないかと思っています。あくまでも、論理的に成立し、データなどにより裏付けされれば、可視化したものを、プロジェクト中に、用意するなどはあまりないのではないかと思います。
一部業界などには、プロトタイプがそもそもないと、製品化できないということもあるかと思います。
一方、デザインシンキングは、とにかくプロトタイプを作ります。セミナーは、あくまでもアイデアを、他メンバーに理解してもらうための、ふせんのメモと説明を簡易的に「可視化」としましたが、本来、模型でも、ラフで書かれた操作画面の紙でも、何か素材を組み合わせた疑似的なものでも、とにかく、作って、それを使って、さらに検証する、ということをします。ここは、論理、データによる裏付けする点と、大きな違いではないかと思います。
③イノベーティブ
ロジカルシンキングでは、あまり飛躍的な発想は、論理性などから、しにくく、ロジカルに物事整理していくと、なかなかイノベーティブな物事は生まれにくいのではないでしょうか。また、複数名でブレインストーミングして、もととなるアイデアを出していくことはしますが、それも、あらためて論理的に整理していくと思います。開発でいえば、ウオーターフォール型です。
一方、デザインシンキングは、問題解決の際のKJ法を、解決策を検討する際にも用いていきます。また、プロトタイピングで見えてきた情報も、もちろん生かします。さらに共創することも、自分の持っていない情報・アイデアが、メンバーから出てきて、その連携が飛躍した発想へとつながります。ブレストと同じかもしれませんが、どちらかというと、共創→プロトタイプ→共創→プロトタイプ・・・とまわしていく点で、アジャイル型となります。
と、3つの点で、ロジカルシンキングと、デザインシンキングを比較してみましたが、別にどちらが優れているとかではなく、どちらも使えばよいのだと思います。診断士はどちらかというと、ロジカルシンキングで、可視化しやすい問題や課題をしっかり整理、順序立てて、物事の解決をしていくようなイメージなのですが、今後は、日常可視化されないような問題点も、人が発想しないような観点から見出し、それをプロトタイプと共創をしていくようなことをやりつつ、イノベーションを起こせるようになれればよいと感じました。継続的にやるのは、かなり時間、労力、お金も必要と思いますが。。。
今後もデザインシンキングは、しっかり取り入れていきたいと思います。