講師の亀田です。
本日は、シニア研究の中から、シニアを理解するための3つの鍵について、ご紹介したいと思います。
シニア理解の鍵① エイジングイベントを捉える
シニアになると「身体」の変化(老化現象)が起きます。例えば老眼の進行、肌の衰えなどです。
これらの避けては通れない現象をポジティブに捉えなおして、私達は「エイジングイベント」と名づけました。
現象だけをとらえれば老化そのものですが、その変化には商機が隠されていて、マーケティングとしての機会は、
そこにどうポジティブに寄り添っていくにあります。
例えば、老眼では、自分が老化の入口に達したという事実を認めたくない心理が働きます。
これをポジティブに転換したのが「リーディンググラス」です。
シニア理解の鍵② 負のイベントが引き起こす人生の「引き算感」
シニアの時期になりますと、健康診断のよくない結果や年齢の大台到達などをきっかけに、
「自分にはあと何回できるのか」「あと何年生きなければならないのか」といった気持ちになることがあります。
これが「引き算感」あるいは「逆算感」です。
これが最後の機会になるかもしれないなら、元気なうちに、後悔のないように楽しみたい。
自分たちだけはなく、子どもや孫、知人などへの贈り物にもお金を使いたい。
そんな思いに、心が動かされるのです。
シニア理解の鍵③ 過去体験の豊富さが導く「心のゲート」
最後の鍵は、シニア自身の豊富な人生体験が現在の消費に対して及ぼしている影響です。
人生において、他の時期よりも、新しい文化や価値観をより吸収しやすい時期があります。
典型的には、10代から20代にかけての時期です。新しい経験や好奇心などによって吸収された経験は深く心に刻まれ、
その後の価値観を形成する大きな要素となります。
そして、時を経て、何かのきっかけで、その記憶や体験が、新しい価値観を受け入れて書き換わっていくことになるのです。
まるで、開いたり閉じたりする扉のようなに思えます。
そこで、これを「心のゲート」と名付けました。
シニアとなって、時間の余裕が生まれると、何かをしたいという積極的な気持ちだけではなく、
何かをしなければ時間が埋まらない状況にもなります。
そこで、「何をしようか」と考える際に、青春時代に取り組んでいたことを思い出すのです。
例えば、楽器やスポーツなど、若いころに流行したブームが再燃されます。
さらに、「心のゲート」消費は、回顧することによる再開、いわゆるノスタルジー消費だけではなく、再挑戦(リベンジ)消費につながることもあります。
例えば、一眼レフカメラを、お金と時間のゆりとがある今だからこそ挑戦しようと考える方も多く、シニア向けカメラ教室なども開催されています。
現在のシニアはすでに「豊かな日本」の中で青春時代を送っているため、「心のゲート」も個々人の嗜好に応じてさまざまなかたちが考えられますね。
いかがでしたか。
皆さんの周りのシニアの方々とコミュニケーションする時のヒントにしていただけると嬉しいです。