皆さま こんにちは。
稼プロ18期の舌歯 昌洋です。
稼プロブログの2回目になります。
今回は私の本業の会計関連の話題に触れたいと思っています。
企業の財務諸表にはたくさんの数字があります。その中で最も重要なものは何でしょうか?意見は割れるでしょうが、「売上高」は最も重要なものの候補になると思います。今回の話題は、我が国における売上計上の会計ルール変更です。
平成30年3月30日付で売上計上の会計ルールが公表されました。正式には「収益認識に関する会計基準」と「収益認識に関する会計基準の適用指針」と言います。我が国では従来包括的な売上計上の会計ルールがありませんでした。今回のルール設定により、少なくとも上場企業はすべてこのルールに従った処理を行うことになります。
ちょっとしたクイズを出しますので、まずは下の方の答えを見ずに直感的に考えてみてください。
<クイズ1>
この新ルールに従った会計処理を行うと、売上高が激減するであろうと予想される業界があります。どの業界だと思いますか?
<クイズ2>
この新ルールに従った会計処理を行うと、売上高が10%くらいは減少するであろうと予想される業界があります。どの業界だと思いますか?
以下の回答は私の個人的な解釈・予想に基づくので間違っていても軽く流していただけると助かります。
<クイズ1回答>
百貨店・デパート業界です。
<クイズ2回答>
家電量販店業界です。
以下はわかりやすさを重視して書いていますので、厳密な用語法などと比較し違和感あるかもしれませんが、趣旨を勘案しご容赦ください。
<クイズ1解説>
百貨店・デパート業界で会計処理上の論点となるのは、いわゆる消化仕入形態の取引になります。どのくらいの影響があるかは、下記の設例で説明します。
設例
・デパート内のあるテナントは100円で顧客に商品を販売した。
・デパートはテナントが顧客へ商品を販売する際に、帳簿上①デパートがテナントから販売価格の80%で仕入を行う②同時に顧客へ売るという処理をしている。
従来のデパートの会計処理
売上高(商品販売)100
売上原価(商品仕入)80
差引:売上総利益20
これからの予想会計処理
売上高(手数料収入)20
差引:売上総利益20
いかがでしょうか。専門的には、本人・代理人という会計論点があって、それを検討した結果デパートは代理人に該当すると判断した例になります。
この単純な例では、デパートの売上高は1/5になってしまいました。
最終利益への影響はありませんが、損益計算書の見た目がずいぶん変わるでしょう。
<クイズ2解説>
家電量販店業界で会計処理上の論点になるのは、ポイントの取扱いです。
購入金額の10%がポイントとして付与されるなどというのはよくあるパターンだと思います。この部分が変更される見込みです。
設例
・顧客の購入金額に対して10%のポイントを付与する
従来の家電量販店の会計処理
売上高(商品販売)100
売上原価(商品仕入)70
販売費及び一般管理費(ポイント)10
差引:営業利益20
これからの予想会計処理
売上高(商品販売)90
売上原価(商品仕入)70
差引:営業利益20
いかがでしょうか。専門的には、追加の財又はサービスを取得するオプションの付与という会計論点があって、ポイントの付与が当該オプションに該当すると判断した例になります。
この例では当初販売時にはポイント分の売上が減ってしまいました(厳密にはその後ポイントが使用される局面などもあるが、単純化のため省略)。
平成33年4月1日以降の適用に向けて、各社で準備活動が行われるでしょう。
経理部門だけではなく、営業・法務部門等全社的な対応が必要になると思われます。皆様が考えるきっかけになれば幸いです。
長文お読みいただきありがとうございました。
稼プロ18期の舌歯 昌洋です。
稼プロブログの2回目になります。
今回は私の本業の会計関連の話題に触れたいと思っています。
企業の財務諸表にはたくさんの数字があります。その中で最も重要なものは何でしょうか?意見は割れるでしょうが、「売上高」は最も重要なものの候補になると思います。今回の話題は、我が国における売上計上の会計ルール変更です。
平成30年3月30日付で売上計上の会計ルールが公表されました。正式には「収益認識に関する会計基準」と「収益認識に関する会計基準の適用指針」と言います。我が国では従来包括的な売上計上の会計ルールがありませんでした。今回のルール設定により、少なくとも上場企業はすべてこのルールに従った処理を行うことになります。
ちょっとしたクイズを出しますので、まずは下の方の答えを見ずに直感的に考えてみてください。
<クイズ1>
この新ルールに従った会計処理を行うと、売上高が激減するであろうと予想される業界があります。どの業界だと思いますか?
<クイズ2>
この新ルールに従った会計処理を行うと、売上高が10%くらいは減少するであろうと予想される業界があります。どの業界だと思いますか?
以下の回答は私の個人的な解釈・予想に基づくので間違っていても軽く流していただけると助かります。
<クイズ1回答>
百貨店・デパート業界です。
<クイズ2回答>
家電量販店業界です。
以下はわかりやすさを重視して書いていますので、厳密な用語法などと比較し違和感あるかもしれませんが、趣旨を勘案しご容赦ください。
<クイズ1解説>
百貨店・デパート業界で会計処理上の論点となるのは、いわゆる消化仕入形態の取引になります。どのくらいの影響があるかは、下記の設例で説明します。
設例
・デパート内のあるテナントは100円で顧客に商品を販売した。
・デパートはテナントが顧客へ商品を販売する際に、帳簿上①デパートがテナントから販売価格の80%で仕入を行う②同時に顧客へ売るという処理をしている。
従来のデパートの会計処理
売上高(商品販売)100
売上原価(商品仕入)80
差引:売上総利益20
これからの予想会計処理
売上高(手数料収入)20
差引:売上総利益20
いかがでしょうか。専門的には、本人・代理人という会計論点があって、それを検討した結果デパートは代理人に該当すると判断した例になります。
この単純な例では、デパートの売上高は1/5になってしまいました。
最終利益への影響はありませんが、損益計算書の見た目がずいぶん変わるでしょう。
<クイズ2解説>
家電量販店業界で会計処理上の論点になるのは、ポイントの取扱いです。
購入金額の10%がポイントとして付与されるなどというのはよくあるパターンだと思います。この部分が変更される見込みです。
設例
・顧客の購入金額に対して10%のポイントを付与する
従来の家電量販店の会計処理
売上高(商品販売)100
売上原価(商品仕入)70
販売費及び一般管理費(ポイント)10
差引:営業利益20
これからの予想会計処理
売上高(商品販売)90
売上原価(商品仕入)70
差引:営業利益20
いかがでしょうか。専門的には、追加の財又はサービスを取得するオプションの付与という会計論点があって、ポイントの付与が当該オプションに該当すると判断した例になります。
この例では当初販売時にはポイント分の売上が減ってしまいました(厳密にはその後ポイントが使用される局面などもあるが、単純化のため省略)。
平成33年4月1日以降の適用に向けて、各社で準備活動が行われるでしょう。
経理部門だけではなく、営業・法務部門等全社的な対応が必要になると思われます。皆様が考えるきっかけになれば幸いです。
長文お読みいただきありがとうございました。