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RPA(Robotic Process Automation)導入

2018-08-04 17:42:21 | 18期生のブログリレー
最近、社内で取り組んでいるIoT案件(RPA)について本日はコメントします。
新聞でもよく話題に上がっているRPA(Robotic Process Automation)を、私が所属する部門では社内でも先駆けて
導入し、現在も6-8件/月のRPA化をコンスタントに実現しています。ただ、RPAの導入は新聞や雑誌で特集されているほど簡単ではない、とも実感しています。理由は以下三点です;

1.初期導入コストが高い(採用するRPAにもよりますが、ライセンス費用、RPA稼働環境(サーバー)構築など)
2.RPA製造/開発要員の確保(自分たちで開発・製造するのは限界がある)
3.継続的な保守体制(自分たちで保守=人事政策にも影響あり)

RPA化した一つの事例を紹介します。複数(5-7社)の派遣会社から派遣された30名位前後の方が当部門には勤務しています。この費用精算は派遣社員専用のWEBサイトから毎月の請求データを各社毎にダウンロードします。その内容(勤務時間)を確認の上、支払処理を行い、関係部署に費用を付替える、という手作業で毎月行っていました。これを全てRPA化する事で総務人事の業務を大幅に削減し、現在は請求データと支払データの支払相手先・金額が合致している事を確認・捺印するだけになりました。ただ、この構築は実は当初想定したより簡単ではなく、細かな手直しが
何度も発生し、一部のプロセスはEXCELマクロが効率的、と判断し軌道修正して現在は安定稼働しています。

私が部門内のRPA化を推進する上で痛感したのは、RPAといえど所詮はシステム化の一ツールに過ぎない、という事です。
故に最も重要なのは、通常のシステム化を検討するプロセスを遵守する事です。すなわち、現行業務(AS-IS)を可視化し、あるべき姿(TO-BE)とのFIT&GAPを実施すること。その結果を踏まえて業務の標準化あるいはBPR(Business Process Re-engineering:業務改革)を行い、RPA化する対象範囲をクリアにして要件定義をきちんと行う事です。このプロセスを省略すると現行業務(AS-IS)のままのRPAが作られる為、属人化された業務のRPAが構築されるリスクがあり、担当変更後にトラブルが生じる可能性が高くなります。そして通常システム同様、システムベンダーに開発製造・保守を依頼して円滑にマネジメントすることです。

一方、当部門で発生している懸念点は、RPAを利用することが目的化しつつあることです。上述の通り、RPA自体はシステム化のツールの一つに過ぎません。ただ”自動化”出来るというメリットにのみ着目して推進するのは、実務従事者が世代交代していくと業務を理解しておらず、非定常業務やRPAにトラブルが生じた際に(システムで障害発生は当前のリスクで、程度によるものの障害が無いシステムはあり得ない)対処できないリスクが高くなります。故に”見える化”しておくことが重要で、そのためには標準化しておくことが必要条件となります。

またRPA化して捻出できた余剰時間をどのように活用するか、という点も常に考える必要があります。RPA化して人件費カットする事が目的でなく(残業時間の削減は実現すべきですが)、捻出した時間を活用してどう収益向上に
貢献させるかが重要です。これが実現できて初めてRPAにかかる諸費用を回収できることになります。RPA化して人員削減する記事もよく目にしますが、当方は社内業務を理解している人材(理解までには時間=コストがかかる)を簡単に削減すべきではありません。ここまで考慮できない場合、RPAの導入は慎重になるべきです(導入した企業も走りながら体制構築・利用方法の範囲策定などをされている、と聞き及んでいます)。

ただ、中小企業を支援するシステムツールとしては非常に面白い、とも考えています。RPAを含めたITサービスを費用対効果がある形で、かつ工数(工期)を短縮して提供出来る仕組み作りを現在、考えている最中です(ライセンス問題などハードルは低くないですが)。

以上
コメント (5)
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