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「経営診断の目的と診断ニーズ」

2018-08-27 03:57:58 | 18期生のブログリレー
「稼プロ!」18期 運営チームの小林 隆です。

前回に続き、来年の1月に予定されている「診断実習」へ向けて、中小企業診断士(経営コンサルタント)が中小・零細企業のコンサルティンを行う際、おさえておきたい事について記載します。

第2弾は、「経営診断の目的と診断ニーズ」についてです。内容の多くは、「当たり前だ」、「そんなこと知っている」という部分が多く含まれるものと思いますが、実際に報告書を拝見すると、診断の「目的」や「ニーズ」にきちんと応えていない報告書が多く見られますので、まずは認識の共有を図ってまいりたいと考えています。


一般的に経営診断の目的は、個別に指定されたテーマがない限り、診断企業の経営改善提言、又はよりよく企業の成長を促すための施策提案により、企業経営者の行動変容を促すことにあると、私は考えています。

一方、経営者がコンサルタントに相談を持ち掛ける場合は、経営者自身の「診断ニーズ」がすでに存在しています。その場合は、経営者が何らかの経営上の問題点に直面し、経営者自身がそれなりに、問題点やその原因、課題を把握しています。

ちなみに、 ここでいう問題点とは、経営上の不具合が顕在化された状態・状況、あるいは表出していないものの時間の経過あるいは外部環境の変化等によって顕在化する内在された事柄のことであり、それらの解決へ向けてなすべきことを課題と言います。

診断にあたり、コンサルタントである私たちは、社内や周辺環境のヒアリングや現場の視察・調査を通じ、当該企業の客観情報を収集し、① 問題点を把握し、② 原因を分析し、③ 改善提案をして行きます。

おのずと経営者へのヒアリングのウエイトが高くなりますが、経営者が認識している診断ニーズや重要と考えている問題点・原因・課題は、それが当該企業の経営改善を測ったり、成長を促すための本質的な問題点や原因とずれている場合があります。私たちは企業に対する医師のようなものですから、患者が知覚すし訴える症状や症状だけを聞いて、診断をくだすわけには行きません。私たちには会社全体を見渡して、企業のために真に必要なこと、重要なことの把握と優先順位を付けて改善策を提案することが求められます。

医療の現場では、問題指向型(Problem-oriented : PO)臨床診断というものがあるようです。そのプロセスの概略は以下の通りです。
① S(Subjective) : 患者の訴え(そのまま患者の訴え通り、受け取ってはならない)。
② O(Objective) : 他覚的所見。五感を駆使して患者の状態を捉えた後、各種検査結果を加える。
③ A(Assessment) : 医師の解釈、診たて。
④ P(Plan ) : ③Aに基づいた、今後の治療、対策。
①Sと②Oは、客観的事実が重要であり、医療者の主観を交えず行い、③Aにおいて診断をくだし、④Pで治療計画をたててゆく手法です。
<参照:ウイキペディア,「診断」,2018/8/24,
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A8%BA%E6%96%AD>

私たちも、診断の現場で同様のプロセスで診断結果と改善提案を実施して行きますが、医療と少し異なるのは、企業の経営者が聞きたいこと、すなわち診断ニーズには、多少 本質的な原因から離れていても、診断報告書には回答を用意する、ということです。経営者自身が聞きたいとことに回答することは、経営者の診断に対する満足度を高めることにつながるからです。

当然、本質的な問題点・原因・解決策の提案にウエイトを置きますが、経営者自身のニーズを無視しないということが、大切です。

しかし、ややもすると多くの診断報告書が、それぞれのコンサルタントの専門領域や、コンサルタント自身の思い入れの強い部分に偏り、診断される企業の客観的状態や、経営者のニーズを満たしていないことがあります。

相手の聞きたい事と、コンサルタントが認識する優先順位の高い重要な事項をバランスよく、上手に診断報告書に盛り込むことが大切です。
コメント (6)
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