最初に、『「月島三丁目南地区第一種市街地再開発事業」を中止したうえで、地域コミュニティーを守る月島再生の検討を求める請願』(賛同者160名、同日現在)が9月12日開催の中央区議会環境建設委員会において多数決の結果、不採択となってしまいましたことを心からお詫び申し上げます。
力不足を反省すると共に、ここに審議の経過をご報告させていただきます。
請願審議を通じ明らかになった問題点は、今後、本事業の予算を執行させてはならないとして8月29日に提起した「差止めの住民監査請求」の議論や引き続きのまちづくり施策の議論の中で生かして参る所存です。9月21日には、住民監査請求の手続きの一環として中央区監査委員に陳述(傍聴、可)を行います。
これからが始まりであって、皆様と一緒に、地域の課題を解決しつつ、コミュニティーを守る月島の再生を実現して参りたいと考えます。絶対に壊してはならない大切なコミュニティーがこの地区にあります。
【1】9月12日中央区議会環境建設委員会のご報告
(1)9割からは程遠い7割5分の本事業への同意率
請願審議の中で、最大の論点が、本事業に対する合意形成が不十分であることでした。
本事業の「都市計画手続きに関する同意書」について、その同意書を撤回するための書面を中央区に提出したい旨の複数の地権者からのお申し出をいただいております。103名中82名の同意書を提出された地権者が当初おられましたが(同意率79.6%)、現段階で4名の方が同意書を撤回されたため78名、75.7%へと同意率が低下してきている状況です。中央区の慣例では、9割の同意率で再開発事業を進めてきたところ、このまま本事業の都市計画手続きを進めることは、今までの慣例を破る行為であり、まさに住民の合意形成のなきまま本事業を見切り発車させることとなります。
4分の1近くの地権者の方が同意をしていない状況で本当に事業を進めてよいのでしょうか。吉田副区長が委員会で述べた理由は、4分の3の多数者の同意という多数決原理でした。
再開発事業は、基本的には侵されてはならない本人の土地・建物という大切な財産を、嫌が応でも取り上げるという絶対的な強制力を生み出す仕組みであり、本来多数決で決めてはならないものです。だからこそ、都市計画手続きの始まりの段階で、9割以上の高い同意率が求められるという慣例をいままで中央区も守り続けてきました。
また、地権者と事業者との間に情報力や交渉力の著しい格差が、再開発の複雑な制度ゆえに存在しています。事業者から、十分な説明がなされて初めて自己決定が可能になり、なされた同意が意味をもつと考えます。考え直して同意を撤回される人が、現時点で出ていることからすると、過去によくわからずに同意がなされたかたも多いのではないか、同意の有効性自体が疑わしいのではないかと考えます。
(2)同日の請願審議で指摘された問題点①~⑨
同意率の低下以外にも、委員会で指摘された本事業の問題点は、細部に渡りますが、
①最も日影被害が生じるところへ保育園を計画しており変更すべき点、
②風洞実験においてすでに風害の悪化が認められており近隣にある月島第一小学校の学校生活等に懸念が生じる点、
③たとえ「参加組合員制度」で保留床処分ができたとしても(これ自体も難しいと思いますが)、その先には、修繕積立金問題などが生じ超高層マンションの資金運営に支障を来しうる点、
④国への「密集市街地総合防災事業補助金」申請を平成28年度内に間に合わせるべき事がらについて、本年度に入って持ち回り決議がなされたことが時間的に遡りが許されない点(合わせて言うなら、本事業について、国へ報告する本事業の計画案はある一方で、同時期開催中の中央区議会予算特別委員会に報告する計画案はないとすることの中央区の説明の矛盾)、
⑤8月24日開催「月島地区まちづくり協議会」配布資料3頁において、都市計画原案説明会に参加できる対象者が「権利者」と限定をし、住民を排除した記載をしており都市計画法第16条1項(下記条文参照)の趣旨に反している点、
⑥再開発が許される地区であるためには、「高度利用地区」について、まず先に地区計画変更される必要がある点、
⑦再開発を行うための都市再開発法3条の4つの要件が満たされていない点、特に、この地区には既に賑わいが形成されており「土地の利用状況が著しく不健全である」とは言えないため第3号要件に合致していない点、
⑧4/27・5/7開催の住民説明会について準備組合作成による中央区への報告書記載の事実が、説明会で実際に出された住民からの意見を誠実に反映していない点、
⑨超高層には、先日のNHKの報道でもあったように、直下型大地震による「長周期パルス」で大規模損傷を来すなど防災面の脆弱性につき解決すべき多くの問題がある点など、
本事業について、さらに審議を深めるべき問題が山積され請願の継続審議がなされるべきことが明白でした。
それらについて、中央区から回答がなされていないにも関わらず、吉田副区長は「すでに答弁済みである」として回答を拒否。その後、継続審査とすることなく採決がなされ、不採択に終わりました。
他党議員から、本事業についての賛成・反対を含めた地区内の皆様の多数の生の声が匿名でご紹介されたことからも、それら声が多様である以上は、本事業の都市計画手続きを急ぐのではなく、請願の審議継続をしつつ、住民の合意形成を図って行くべきであったと考えます。
【2】中央区主催、住民説明会開催。ご参加を
本事業の都市計画原案を、中央区が住民や利害関係人に説明する都市計画法16条1項に基づく説明会が、来週開催されます。
中央区からの説明の後、質疑応答や意見を述べる時間が設けられます。ぜひ、この機会を利用して、本事業に対する疑問点、問題点を、中央区に届けて下さい。
なお、対象者は、都市計画法上、権利者に限定されておらず、広く住民に開かれた会となっています。
記
日時:平成29年9月20日(水)午後6時30分~
場所: 月島区民センター1階会議室(月島4丁目1-1)
参照条文:都市計画法
(公聴会の開催等)
第十六条 都道府県又は市町村は、次項の規定による場合を除くほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 (以下、略)