9月20日中央区主催で開催されたこの地区の超高層再開発計画に関する原案説明会にご参加されたかたは、中央区の説明責任を果たす姿勢について、たいへん残念に感じられたのではないでしょうか。住民の皆様から、まだ、たくさんの質問が残っていたにも関わらず、会場が午後8時までという理由で(実際は午後10時まで使用が可能な場所です。)、途中で打ち切り、あとは、準備組合に聞いて下さいと説明をすることからも逃避してしまいました。
大切な土地・家屋の資産が、超高層再開発によってどうなっていくのか、参加された住民のかたから、詳細な分析による資料を用いた質問がなされましたが、中央区はその質問にも十分な回答をなしたとは言えません。
そもそも、土地や家屋を売る場合に、売るということが先に決まり、契約の撤回ができないときになってから、値段が決まるというようなことはありえません(民法555条参照)。
***********************
【民法】
第五百五十五条(売買) 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
***********************
しかし、地権者の皆様は、「都市計画の手続きに関する同意書」を出すことで、財産権を相手方に移転することを約束している一方、準備組合は、その詳細な事業計画の見積もりをもっているにも関わらず、皆様への提示は未だになされていません。来年2月に中央区長により都市計画決定がなされてしまうと、計画の内容や手続きに重大な違法がない限り後戻りができません。そのような状況で、初めて、代金が明らかにされるのです。嫌だといっても後の祭りです。再開発の仕組みは、行政代執行法に基づき強制的に追い出す力を持っています(都市再開発法第98条)。
だからこそ、再開発は、普通の売買契約以上に、丁寧な説明が求められますが、今回の原案説明会も含め、それがなされていないところが、当地区の重大な問題点です。
現在、同意書の撤回をされるかたが出て来られています。今一度、この計画について立ち止まって考えるべきではないでしょうか。中央区の今までの慣例では同意率は9割以上であり、7割5分という低いままで都市計画手続きを進めることはありえませんでした。何を急いでいるのか甚だ疑問です。
なお、私が、原案説明会で質問したことは、そもそもこの超高層計画は、都市再開発法に反して違法であるということでした。現在、この再開発に関わる予算執行を差し止める「住民監査請求」がなされています(全文は、⇒http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/cda3b6b34f06be790ed1c3a51baba4cf)。9月21日には、私を含め3人の住民と弁護士が中央区監査委員に「陳述」を行いました。
***********************
住民監査請求提出時の記者会見
弁護士からの説明:https://youtu.be/VbzLBTcofn4
記者からの質疑応答:https://youtu.be/isbUt_J6RlI
***********************
地域の課題があるにしても、その課題を解決するために「なぜ、190m50階建ての超高層マンションが必要なのか?」と多くのかたが疑問に感じられます。その皆様が抱かれる感覚は、賑わいや豊かな地域コミュニティが既に息づく月島のこの地区の土地利用のあり方を、「著しく不健全」(都市再開発法第3条3号)とみなして超高層計画が進められていることにも起因していると私は考えます。この地区は、現行「月島三丁目地区地区計画」のもと、地権者の皆様がご努力されて共同建替えや個別建替えが行われて参りました。地権者の皆様のご努力を顧みれば、土地利用のありかたが「著しく不健全」とは到底言えないと考えます。皆様の思い入れのあるお住まいが、違法な計画で取り壊されるようなことがあっては決してなりません。
***********************
【都市再開発法】(第三条三号のみ抜粋)
第三条(第一種市街地再開発事業の施行区域)
三 当該区域内に十分な公共施設がないこと、当該区域内の土地の利用が細分されていること等により、当該区域内の土地の利用状況が著しく不健全であること。
***********************
25日には、勉強会を開催致します。お気軽にご参加下さい。
記
第11・12回「愛する月島を守る会」 勉強会
日時:平成29年9月25日/10月2日(月)19時~
場所:あすなろの木(月島三丁目30-4飯島ビル1F)
テーマ:月島の再生のあり方を、話し合います。
以上