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豊洲市場問題再検証報告書からわかること。豊洲市場の「都市計画決定」に重大な違法の瑕疵があるということ

2016-11-02 08:58:32 | 築地重要

 東京新聞が、11/1発表の、豊洲市場問題再検証報告書の内容を詳細にまとめて下さっています。

 再検証報告書で重要な点のひとつは、豊洲市場は、「全面盛り土を前提とした環境影響評価書が中央卸売市場から環境局に提出されているが、変更届は出ておらず、重大な手続き違反」すなわち、「違法」であるということです。

 その重大な手続き違反は、環境影響評価書が大丈夫であることを根拠として豊洲市場計画の都市計画決定をしていることから、都市計画決定もその「違法性を承継」しています。

 違法な都市計画決定によっている、その決定は「無効」であり、豊洲市場移転は、都市計画法上も認められません。



********東京都ホームページ*******

もとの報告書⇒ http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/pdf/toyosu/siryou/pdf/team2_houkoku.pdf 

関連内容⇒ http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/siryou/team/ 


********東京新聞20161102********************
(西暦と元号の併記の手直しを入れています。)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016110202000121.html 

豊洲市場検証報告書の要旨


2016年11月2日 朝刊


 豊洲市場の盛り土問題で、東京都が一日、新たにまとめた検証報告書の要旨は次の通り。 


 ▽新たな検証結果


 【整備方針】


 平成21年(二〇〇九年)二月、豊洲新市場の土壌汚染対策について話し合っていた専門家による技術会議が「新市場の敷地全体に盛り土を行う」とする提言をまとめた。


 同月、技術会議の提言を受けて、都は石原慎太郎知事の下で「豊洲新市場整備方針」を策定。建物下を含めて、敷地全面に盛り土を行うことを正式な整備方針とした。


 【基本設計】


 整備方針に反して、地下にモニタリング空間を設置し、建物下は盛り土を行わないことを前提に基本設計が進められた。


 平成22年(一〇年)十一月、都が基本設計を発注した際の仕様書に「モニタリング空間設計等は本設計に含む」と記載された。平成23年(一一年)二月、都は基本設計に向けた準備を進めていた日建設計に対し、高さ二メートルの地下空間が書き込まれた断面図などを提示。調査に対して、日建設計は「(地下空間を)検討してください、と受け止めた」と証言している。


 この断面図について、宮良真新市場建設調整担当部長が指示して書かせたとの証言があるが、宮良担当部長は否定している。


 同年三月、都と日建設計が基本設計契約を締結。両者の打ち合わせで都が示した資料には「将来的に地下空間を有効利用することが可能かどうか検討を併せて行う」などと記載され、モニタリング空間を地下に設置することが明確に示された。


 同月の別の打ち合わせ資料には、モニタリング空間下の土壌について「土壌汚染対策工事設計の対象外」などと明記された。砂川俊雄施設整備担当部長は後日の打ち合わせで「土木(部門)と連携して、モニタリング空間の盛り土を中止することを考えている」と発言した。同年五月、都は日建設計に、地下に設置するモニタリング空間の床の位置を盛り土をしない状態の深さとするように具体的に指示した。


 同年六月、日建設計が基本設計を完了。新市場の建物下全体に地下空間が広がる断面図が提出された。同月、建物下部分の盛り土を行わないとする内容で、土壌汚染対策工事の起工が決定された。


 【新市場整備部の部課長会】


 平成23年(一一年)八月十八日に行われた新市場整備部の部課長会で、整備方針に反して建物下に盛り土をせず、地下にモニタリング空間を設置することを部の方針として確認した。


 この会議で、宮良新市場整備部長が「(地下に)建設機械を投入するピットが必要、そういった空間を作る」と発言し、モニタリング空間を作る方向が明確になったとする複数の証言があった。一方、宮良部長は「打ち合わせで、(地下空間を)作らないのは駄目だと言っただけだ」としている。しかし、部長は部を統括する立場にあり、地下空間を作ることを部の方針として確認し、部全体に共有されたと考えられる。


 宮良部長は、この重要な方針を中西充市場長に報告し判断を仰ぐ立場にあった。また中西市場長と塩見清仁管理部長は、新市場整備部に対して報告を上げるよう指示する立場にあった。いずれも職責を全うしていない。


 【実施設計】


 平成23年(一一年)九月六日、中西市場長が実施設計の起工書を決定した。仕様書には、建物地下全体に地下空間が描かれた断面図が添付された。


 平成24年(一二年)五月十六日、新市場整備部と日建設計との打ち合わせで、部側は「建物下の埋め土(盛り土)は不要」と発言した。しかし、同月三十日の打ち合わせでは、地下水が上昇する可能性があり、盛り土を施せば揮発した汚染物質を拡散できることなどから、部側は「埋め土ありに変更は可能か」と、日建設計に方針を撤回するような質問をした。


 これに対し、日建設計は「社内では設計図を描き始め、後戻りできない」「埋め土分の工期延長の懸念がある」として、盛り土なしで進めたいとの意向を示した。部側は「当面は埋め土なしで設計を進めてよい」と返答。平成25年(一三年)二月二十八日に、建物地下全体にモニタリング空間が広がる寸法入りの図面が完成し、実施設計が完了した。


 ▽なぜ地下空間を設置したのか


 【土壌汚染対策法の改正】


 平成20年(〇八年)当時、国は土壌汚染対策法の改正を議論していた(改正は平成21年(〇九年)四月、施行は平成22年(一〇年)四月)。中央卸売市場の幹部は法改正の動きを注視しており、平成20年(〇八年)十一月~平成21年(〇九年)一月、「地下空間に小型重機を描いた図」と「高さ二メートルの地下空間が描き込まれた断面図」が作成された。


 二枚の図の作成に携わった副参事によると、宮良新市場建設調整担当部長に「万が一土壌汚染が発生した場合に掘り返し、地下水を浄化するスペースが必要なので検討するよう」指示され、参考図として作成した。これが地下モニタリング空間のアイデアの源泉であったと推察できる。これらの図は日建設計に対して平成23年(一一年)二月に市場側から提示されたものと同一である。


 このような動きから、平成20年(〇八年)後半から平成21年(〇九年)初めごろ、中央卸売市場の中で、地下にモニタリング空間を設置するとの基本的な認識が生じ、宮良担当部長の指示のもと具体的な検討に入ったとみられる


 【専門家会議などへの報告の必要性】


 地下空間は法改正への対応と新市場の建設を両立させるための合理的な解決策として考え出された案ではあった。しかし、そうであれば技術会議に対して盛り土を行わず地下空間を設ける案を提案し、了解を得るべく努力すべきだった。


 さらに、土壌汚染対策として万全かどうかを専門家会議に諮り、都の方針となっていた整備方針の変更手続きをとるべきだった。


 石原知事が決めた整備方針に反して地下空間の建設を独断で行い、事実と異なる説明を長期にわたって続け、都民、市場関係者、都議会、関係区議会を欺いてきたことは言語道断である。


 また、土壌汚染対策上の検証を実施せずに進めたことは決定的な落ち度である。


 専門家会議、技術会議に報告し判断を仰ぐタイミングは、平成22年(一〇年)十一月の基本設計の起工から平成25年(一三年)二月の実施設計完了までの間、いくらでもあった。何人もの管理職が携わったにもかかわらず、誰ひとりとして検証を進言したり報告したりした者はいなかった。


 ▽その他の懸案事項


 【技術会議への提案】


 市場長の諮問機関である技術会議の第八回会議(平成20年(〇八年)十二月)で、中央卸売市場の担当者は「土壌汚染対策法が改正され、新市場予定地が同法の対象になっても、汚染物質を浄化した後に地下水をモニタリングする空間を建物下に確保すれば、指定区域を解除できる」と説明した。第九回会議の提出資料にも同じ趣旨の記述があったが、建物下の空間の必要性について説明はなかった。


 【環境影響評価の変更手続き】


 平成23年(一一年)七月、全面盛り土を前提とした環境影響評価書が中央卸売市場から環境局に提出されているが、変更届は出ておらず、重大な手続き違反ととらえる以外にない。


 ▽結語


 新市場の基本設計の起工から完了の期間(平成22年(一〇年)十一月~平成23年(一一年)六月)と、新市場整備部の部課長会開催時(平成23年(一一年)八月十八日)、実施設計の起工および実務調整の期間(平成23年(一一年)九月~平成24年(一二年)五月)に、整備部にいた部長級職員は整備方針に反し、建物下に盛り土をせず、地下のモニタリング空間設置を進めた。また、必要な措置をとるよう調整する立場の管理部長や、事務方の最高責任者の市場長も職責を全うしなかった。 (肩書は当時)

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