リーガルマインド、法的思考法とは。
一言で言うと、以下。
司法試験・論文を書くコツbot@shiken99 より。
「新司法試験においても…法律実務家として必要な能力という観点からは、最低限、適切な規範の選択・提示、規範に関する事実の摘出、規範への事実のあてはめによる結論の導出の三点を示すことが基本となる。」(高杉直/同志社大学教授)
すなわち、
1適切な規範の選択・提示
2規範に関する事実の摘出
3規範への事実のあてはめによる結論の導出
この論理構成をとれるということが、法的思考ができるということと考えます。
さらにこの論理構成をとるうえでの注意点を述べると、以下Ⅰ~Ⅴ。
Ⅰ規範が選択された理由の提示の重要性
憲法学等では、1において特に重要なことがあります。
1´なぜ、その規範が適切と言えるのか、その理由の提示
ここでは、「必要性」と「相当性」で考えることが多いかもしれません。
「目的の必要性」と、「手段の相当性」という形で現れます。
Ⅱ適切な規範を選ぶ力をつけるには
適切な規範を選ぶためには、法律、条文をきちんと把握することが大切です。
法律、条文をきちんと把握とは、「原則と例外の区別」と、「似て非なるものの区別」ができて初めてできることになります。
その条文は、原則を規定したものか、例外を規定したものか、条文がいう制度趣旨を理解していれば、おのずと、原則と例外の区別ができます。
似て非なるものもまた、区別できることが、条文や制度趣旨が真に理解していることを示します。
Ⅲ梓澤弁護士の見解
梓澤和幸弁護士は、上記1から3の当てはめを、「事実の規範的評価」と述べられています。
梓澤和幸あずさわかずゆき@momocute2006
ロースクール学生へ。 起案と考察の型は 1*問題提起、 2*規範 3*あてはめ だがあてはめとはあまり適切な言葉ではない。 わたしは事実の規範的評価と呼ぶ。 提示された物語を構成する事実の一つ一つに質的評価を加えるのだ。 質的評価を加える以上規範が提示さるべきは当然である。
梓澤和幸あずさわかずゆき@momocute2006
新司法試験は事例問題と決まっている。 問題の所在(問題提起) 規範およひ規範成立の理由 あてはめ という起案と思考のパターンを確立せよ。
Ⅳ事案分析の着眼点
事案を、「手続きと実体」の両者の点で、「形式面と実質面」からそれぞれ分析。
Ⅴ各論 各分野別の視点からは、
<一般論>
司法試験・論文を書くコツbot@shiken99 より
「大切なのは、具体例に当てはめるための一般論・準則といったものも自分で作るのだということです。言い換えれば、具体例に当てはめやすいように作ればよいのです。足を靴にあわせるのではなくて、靴を足にあわせるのです。」(安念潤司/中央大学教授)
「六法は、試験合格まで、高価でも新司法試験用を使うべきである。特に条文の「見出し」がない刑事訴訟法などでは、新司用に慣れていないと、条文が見つけられないことになりかねない。」(平成24年合格者)
「勉強したつもりになって、やるべきことをやらないと何にもならない。…新司法試験では、受験生の思考力、本当の実力が問われるのだから、あくまでも自分の頭をフル回転させる時間をしっかりと確保することが重要である。」(浜辺陽一郎/青山学院大学教授)
「条文との関係で、その判例がなぜ必要になったのか、判例が採用している解決や理論構成がどのように正当化できるかを考えてみると、判例をよく理解する手助けとなろう。」(後藤巻則/早稲田大学教授)
「「人は後ろめたい時ほど言葉の数が多くなる」とはよくいったもので、論文試験の現場ではつねに忘れないでいたい名言である。たとえ答案が埋まらなかったとしても、答案構成の段階で書くべきと判断した内容を書き終えたなら、潔く筆を止めるべきである。」(弁護士)
梓澤和幸あずさわかずゆき@momocute2006 より
ロ-の教員をしているので答案をたくさん見ている。 その経験から言う。まず勉強の量。 しかし同じ量ても差がでる。それは演繹力だ。大論理、中論理、小論理と追う。この大中小にいちいち小さな階段がついていること。基本書を読むときこの大中小と小さな階段がどうふまれているか確認。梓澤hpを。
ロ-スクール未修の秋の諸君にふたたび。砂を噛むように通り過ぎて行った基本書の文章もようやく理解の内側に入って来たかな。そこで概念メモの提案。ポストイットに、法律用語につき意義、制度の趣旨、要件、法的効果、問題点、判例を書き、基本書の当該部分に貼る。基本書の抜け落ちも発見できる。
**************ブログ2012/03/26 *******************************
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/2237a0d026dad54abea389d7dbc3c914
先日、梓澤和幸弁護士とお会いして、学ぶ上での大切なことをお伝えいただきました。
以下、梓澤先生にいただいたメモ。
ろ-スクールの学生 特に未修の秋をすごす人たちへ。 才能はいらない。ただ時間がなく計画に導かれたときを あと2年半はすごすという見通しの力がいる。基本書を読むとき、2回目、3回目を同じ読み方にするな。
ロー1年未修の君に。 旧司法試験と新司法試験の違いは実務感覚だ。実務法律家はすぐに条文を開く。刑事訴訟法の例。接見指定の問題なら、憲法34条、刑訴法39条1項、3項を、まず開く。前者をよくみると『ただちに』の言葉が飛び込む。後者では接見原則、指定は例外。主体が弁となろうとする者。
刑事訴訟法は当事者主義と弾劾的捜査観、伝聞証拠は信用性と必要性、商法は社員権論。 手形は手形行為と白地手形など。 自分で体系的理解を通すと、全部の科目を1日で読めるようになった。 論文の当日は前日全科目の体系が頭にあるので必死に書いた。 その場で考えて書いた。受かった。無我夢中。
ロー未修1年の君へ。授業の予習は当然。授業中に覚えてしまえ。勉強時間が不足だ。入って来る既修と太刀打ちするには、授業と関係なく基本書を読む時間を4*5時間はとれ。はっきり申しあげるとデ-ト、合コンの時間はあきらめ、酒も絶つ。修行僧のような生活を。これ貴君のためのアドバイス。
法学では利益衡量という思考に日々であう。対立する個人または集団が大相撲のようにガチンコでぶつかる。そのガキっというような衝突音が聞こえるほどにロ-に学ぶ君は対立利益の衝突のリアルを実感できるか。 それがNoであれば法廷やデモ、集会をのぞくような感じでみてみよう。
利益衡量とは何か。実は法学の専売特許ではない。個人の人生、集団の方向を定めるとき、問題、悩みに別の方向から光をあてる思考方法である。 賢者はぼろぼろになって教えをこう人たち(庶民も権力者も)に耳傾けた。頷きもいれた。矛盾は容赦なく指摘した。反対利益を知ることで死さえ回避された。
ロ-スクールの学生へ。 定義とは何か。 1* 物に内在する性質を特定し、2*論理的に同位にあるほかの物との種差を明らかにすること。 広辞苑による定義の定義である。 1*の意味が大切。 比較ではなく対象の中へ中へとはいってゆく思考法が欠かせない。
みたび。ロ-スクール未修の諸君へ。 体系的な読みが不可欠。その科目の基本の基本とは何か。 民法総則では法律行為、意思表示。 刑法総論では、行為、実行行為。違法、責任 憲法では人権の保障価値と制約利益、憲法的利益衡量。公共の福祉。 刑事訴訟法では、強制処分の定義などなど。
<憲法学>
司法試験・論文を書くコツbot@shiken99
[憲法]「いかなる「論証」によるにせよ、わが国が付随的違憲審査制を採用する以上、その審査のあり方は具体的事実に基づく経験的判断が重視される…。「図式的」な論証に走る前に…問題となる具体的事実にも留意しつつ、審査基準の設定を論ずると、より説得的になる。」(尾形健/同志社大学教授)
[憲法]「目的効果基準を用いて作成された答案の中には、当てはめをする段になって、自分が何を論証しているのかわからなくなっているものがある。それを避けるためには、今、目的効果基準を用いて何を判断しようとしているのかを明確にする必要がある。」(田近肇/岡山大学教授)
[憲法]「最高裁が法令の合憲性について判断する場合、具体的事実について最高裁の認識を契機とし、あるいはその影響を受けている事が多い…。そうした具体的事実の認識につき分析することで、法令の合憲性についての最高裁判決の論理の射程、意味が明かになる…。」(市川正人/立命館大学教授)
[憲法]「学生のなかには、「A先生の○○説によればこういう結論になります。」と述べて満足するものがいるがそれでは裁判官を説得できまい。なぜ「A 先生の○○説」をとることが本件事案との関係において妥当なのかを説明することが、法律家の議論の作法である。」(愛敬浩二/名古屋大学教授)
[憲法]「憲法判例の意味、射程を理解するためには、重要な憲法判例とされる判決・決定中の判断がどのような訴訟等においてどのような文脈の中で下されたものかに注意することが重要である。」(市川正人/立命館大学教授)
[憲法]「(判例を学習する際には)規範がどのように組み立てられているのか、いざとなれば自分で後から梱包をほどいて再現できる程度には、内在的に理解しておくべきです。」(宍戸常寿/東京大学准教授)
梓澤和幸あずさわかずゆき@momocute2006
立憲主義とは何か。中学二年生にわかるように、への答え。 立憲主義は多数派も過ちを犯すとみる。ナチスや戦前の日本のような巨大な命を生け贄とするそれ。よって単純多数では変更できない規範を作って多数派政府を縛る。それが憲法である。 これに最高の王座を与えるのが立憲主義だ。
憲法の人権論では違憲審査基準、二重の基準論から入り、出るという勉強法と承知
違憲審査基準にいきなり突っ込む憲法の学習法はいただけない。 ある人権はなぜ憲法上保障されるか。 その価値の重さを、はかりにのせる。 次に制約利益として何が登場しているか、それが憲法上保障された人権を制約できるほどの価値を反映しているかを検討。つまり憲法的利益衡量という思考方法だ。
憲法の人権、たとえば生存権に関する判例を読むと行政の裁量であるから違憲の問題を生じない、という表現が頻回に登場する。ここでたちどまれ。 まず裁量とは何か、行政法の基本書で確かめよ。継続的、統一的、一体的な行政目的の実現を遂行するための行政主体の自己決定のための判断余地などの定義。
裁量の続き。さて当該行政判断の目的を検討する。 その目的と生存権保障の憲法上の価値を利益衡量するのだ。
<行政学>
司法試験・論文を書くコツbot@shiken99
[行政法]「「処分の瑕疵」の存否なり「訴えの利益」の存否は、その処分のもととなった法規、あるいは法体系の中で判断される。そのためには、問題となっている課題の視点から実定法規を正確に読み解かなければならない。」(安本典夫/名城大学教授)
[行政法]「条文をその場で正確に読みとく力は必須であり、読みといた条文に即して事案の解決に向けた論理を展開することが必要である。」(石森久広/西南学院大学教授)
<民法学>
梓澤和幸あずさわかずゆき@momocute2006
ロースクール未修1期の秋の学生に助言を求められれば、民法の勉強量は大丈夫か、と確かめる。総則と債権総論の理解を確かめる。全体を把握してから、その俯瞰図の中で論点を位置っけるのだ。
<商法学>
司法試験・論文を書くコツbot@shiken99
[商法]「商法の場合、判例をそのまま適用できる場合もあるが、そのようにいかない場合も少なくない。そこで、できる限り条文の趣旨から結論を導くことを心がけた。」(平成19年合格者)
<刑法学>
司法試験・論文を書くコツbot@shiken99
[刑法]「気を付けなければならないのは事実をねじまけて評価したり、あるいは超マイナー説ばかりを無理に選びとったりして、論点を消してしまうことだけである。(最高裁の立場をとった結果として論点が消えてもあまり気にする必要はない。)」(小林憲太郎/立教大学准教授)
[刑法]「基本書を精読し、基本的な概念、制度の内容や趣旨を正確に把握し、論点においては結論が別れる原因を突き止め、自分の頭で考えるという正攻法の学習でないと本物の基礎力はつかない」(大塚裕史/神戸大学教授)
<民事訴訟法>
司法試験・論文を書くコツbot@shiken99
[民事訴訟法]「民事訴訟法の問題解決に際しては、ひとつの理念にとらわれることなく、多様な理念を調整する能力が必要となります。」(杉山悦子/一橋大学准教授)
<刑事訴訟法>
司法試験・論文を書くコツbot@shiken99
[刑事訴訟法]「短絡的に、資格試験に合格することだけを考えるのであれば、…条文と判例を押さえて適切に問題設定をできれば、現状の司法試験では合格水準に達する…。しかし、長期的な視点から考えれば…刑事司法に関わる際に…学説は…意味を持ちうる…。」(緑大輔/北海道大学准教授)
梓澤和幸あずさわかずゆき@momocute2006
警察高級官僚はアメリカの今を学問的哲学的に研究している。法律家は『警察学論集』立花書房必読。次の次の一手を読め。
ロ-スクールの学生へ。 職務質問の論点は刑訴のはじめにでてくる。勉強法の観点から。 問題提起、規範、あてはめ(事実の規範的評価) と以前書いた。規範の提示とあてはめのために職務質問は好論点だ。 警職法2条を使える。条文から離れない思考を。停止の箇所で利益衡量の方法を学べる。
以上
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