なお、表題で、タワーマンションの乱立という厳しめの表現を用いていますが、インフラ整備が追いつかないまま建設が続き、教室数不足で子ども達の学校生活に支障を来すレベルに達するなら、やはり私は「乱立」と表現すること、お許し下さい。
インフラ整備が不十分な中、タワマン建設だけを進めて本当にいいのか、真剣に考える時が来ています。
録画: https://chuo-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=331
質問した9項目:
①将来人口推計21万人予測下の学校整備
②タワーマンション規制条例制定
③コーポラティブハウスの導入
④コロナ禍後の学校生活の見直し
⑤開かれた学校評議員会運営とコミュニティ・スクール(学校運営協議会)
⑥GIGA第2期とデジタルシチズンシップ教育
⑦リース切れ学習用タブレットの他部署での再利用
⑧学校へ行かない選択をする児童生徒の多様な学びの実現
⑨子どもアドボカシーの実践
*****質問文 全文*****
かがやき中央の小坂和輝です。会派の一人として、区の喫緊の課題について通告に従い一般質問します。明快なるご答弁をお願いします。再質問は留保します。
1,将来人口推計で21万人を突破する予測の下、学校整備の考え方
前回第3回定例会の一般質問において、第一種市街地再開発事業の制度を用いた超高層タワーマンション建設は現在建設中のものが完成すると月島地域で4595戸増え、教室数不足等を生じインフラの許容量が超えている旨議論した。人口推計も踏まえ、再度質問する。
区は、毎年10年先の人口推計を行っており、人口推計で20万人突破を令和9年と予測している。その後10年間も一貫した上昇基調で令和14年には21万人をも突破する。
国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研と略す。)の令和5年の地域別将来人口推計を用いると、2050年まで中央区の人口は増加し続けると読める。①区は、2050年までの長期の人口推計をどのように分析しているか。
11月現在の区の人口18万6965人から21万人まで2万人強が増えるとして、児童がさらに1000人程度は、増加するのではないかと推察する。②このような急激な人口増加が予測される中、小学校は、本年開校の晴海西小学校を加えた17校と分校1校で足りるという考えか。
2、乱立から地域を守るタワーマンション規制条例制定
神戸市は、2019年7月、中心街三宮の人口集中を避ける目的でタワーマンション規制するために「神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例」を改正、翌2020年に施行した。同改正により地区計画で「都心機能誘導地区」を導入、敷地面積1000平方メートル以上には、容積率を400%までに制限され、8-10階建て程度のマンションが限界となった。久元喜造(ひさもときぞう)市長は、急激な人口増加によって、小学校などの教育施設がひっ迫し、「神戸市中央区に対する人口の一極集中を抑制し、神戸市全体にバランスのとれた人口配置をすることを目的としている」旨を市議会で答弁している。2018年9月に「タワーマンションのあり方に関する研究会」を設立し、一年弱の検討ののちに規制の方向へ舵をきった。同市は、建てることの規制だけではなく、建ったことによる影響もまた、「タワーマンションと地域社会との関わりのあり方に関する有識者会議」のもと分析し、対応を本年度検討しており、注目すべき内容となっている。
本区でもすでに高さ60m以上の超高層住宅が工事中のもの5棟含め65棟32,013戸存在する(令和5年3月末)。うち41階以上の建物が36.9%、総戸数501戸以上が38.5%の各々4割弱で規模が大変大きい。
本区は、ほぼ全域に条例で地区計画を定めており、神戸市の手法と同様に地区計画では規制があるのであって、そして、横浜市でも同様の手法を用いて規制し、すでに、タワーマンションは建てられないとみなすこともできる。それでも、学校などインフラ整備が整わない中で、①タワーマンションの建設が続き、歯止めが効かなくなる可能性があることから、その建設に対する規制の必要性を、いかがお考えか。②少なくとも、タワーマンションのまちづくりのあり方を見直すため、神戸市のように「タワーマンションのあり方に関する研究会」を立ち上げ、学識経験者も交え、検討をするべきではないか。
ここで、「タワーマンションの乱立」と、きびし目の表現を用いていますが、インフラ整備が追いつかないまま建設が続き、教室数不足で子ども達の学校生活に支障を来すレベルに達するなら、やはり私は「乱立」と表現すること、お許し下さい。
3、共創的公共による面的整備「コーポラティブハウス」の導入
①公的資金を投入し、大規模な面的整備を図るタワーマンション建設の手法を持ち得ないとして、では、どのようなまちづくりができるか、前回の第三回定例会一般質問の場で、私の再質問に対し、区長からも研究する旨のご答弁をいただいたが、その後の進捗は、いかがか。
銀座では、民間の東京高速道路株式会社KK線の上部空間の歩行空間化が進められ「KK線再生プロジェクト」がこの11月に始動した。その整備のコンセプトが、「共創的公共」とある。多領域の 専門家がパートナーとして必要な領域・検討フェーズに応じてフレキシブルに関わり、連携、共創しながら、透明性高くグリーンインフラを整備していくという。キックオフの第1弾カンファレンスに私も参加したが、「建物の上を橋で繋ぎ道路として車が走っていたものを今度は歩行空間としてあらたに蘇らせる、21世紀の世界遺産を創出させるぞ」という熱気に揉まれながら、その発想は、今後のまちづくりにもいかせるのではないかと考える。
「共創的公共」の発想を用いたまちの更新、共助の建替えができるのではないか。
すなわち、小さな面的手法として、隣接する複数の土地所有者らが協議をして、共同の住居を建設するコーポラティブハウスが広がりつつある。住民がそれぞれの実現したい生活の理想をそれぞれが一つの共同住宅の中で間取りなど知恵を出し合いながら設計をする。低層で建て替えをし、人口急増の負荷を生じることなく、住民は住み続けることができ、地域の課題解決を織り込みながら、まちも更新をする手法である。
②このような共助により建て替える住民のコーポラティブハウスの取り組みに対し、区として、その推進や、アドバイザーの派遣をする等支援することは、できないか。
学校関連に移ります。
4、コロナ禍後の給食、宿泊行事、運動会等学校生活のあり方の見直し
コロナ後、いまだに、コロナの影響が残った学校生活が送られている。
学校給食は、私語ができるが、黒板を全員が向いている。
課外活動では、小学校4年生の宿泊行事がコロナ前には2泊3日であったものが、1泊2日と短くなった。
運動会では、大きな変化が生じたままである。
①学校給食は、原則、皆で向かい合って談笑しながら楽しく食事をする「共食」の形にもどすべきではないか。
②宿泊行事を経験した4年生や、これからの3年生に、「1泊がよいか、2泊がよいか」聞くと、7−8割で「2泊がよい。」と回答が返ってくる。自然体験が少ない本区としては、4年生の宿泊行事も2泊3日に戻していくべきではないか。
③運動会も、出来る限り、コロナ前の形へと、戻して行くべきではないか。
それぞれの考え方をお示し願う。④少なくとも、児童生徒にも意見を聞いてあり方の検討を行っていただきたいが、いかがか。
5、開かれた学校評議員会運営とコミュニティ・スクール
本来であれば、上述のような学校運営方針についても、児童生徒の意見も反映させながら、地域が一緒になって考える事項ではないかと考える。
中央区は、学校運営方針を検討するにあたり、学校評議員会制度を用いている。この制度では、学校評議員が、説明責任を担うこととなるが、評議員だけでは、地域にその内容を知らせていくことは限界がある。学校評議員会での開催された内容を、保護者が知り得ていないのではないかと危惧する。①教育委員会は、学校評議員会での検討事項の地域への周知をどのように行うお考えか。学校評議員会の検討された内容を広く保護者に知っていただけるように、PTAを通じて、保護者への周知を図っていくなど有効な周知の方法はさらに検討できないか。
こども基本法が施行され、こどもに関する施策はこどもの声を反映させることがその第11条で義務化された。子ども基本法の趣旨に則り、学校の運営方針を定める評議員会へ、児童生徒の参画が求められるところであるが、②学校評議員会へ児童生徒が参画することは、できないか。子どもから意見を聴くことは、突拍子も無い意見が出て収集がつかなくなると危惧される大人がおられるかもしれないが、杞憂に過ぎない。私たちの会派でも夏休みに「子ども議会」と題して、小学生達を中央区議会へ招き、率直な意見交換を実施しているが、いつもまっとうな意見が出され、こちらが勉強させていただいている。
さて、現在、コミュニティスクール/学校運営協議会を導入している学校は、文科省の統計上も、中央区においては存在しない。
全国では学校運営協議会を導入する学校も増えている。学校を地域の核と位置づけ、地域のひとが学校に参画していくことは、今まで中央区が行ってきた学校評議員会制度の方向性と一致しており、より開かれた形を求めるのであれば、学校運営協議会が、これからの本区に適していると私は考える。③コミュニティスクールを導入することを、各学校の実情に合わせて選択することを、その自主性に任せて進めることができると考えてよいか。
6、NEXT GIGAへの教育委員会の取り組みとデジタルシチズンシップ教育の全校展開
コロナで後退したことがらを先に述べたが、進展したこともあった。感染症への備えの強化や、ICTの進展である。
子ども達にも、コロナ禍、学習用タブレットが全児童生徒に配布され、GIGAスクール構想が始まった。この度、第一期が終了し、来年4月から令和11年3月末まで第二期が始まろうとしている。教育委員会も『GIGAスクール構想推進計画』を本年9月に策定し、第二期に向けた準備が進められるとともに、児童生徒の機種を、マイクロソフト社のSurfaceからDynabook社のK70へ変更し、学習環境の充実を図ろうとしている。なお、特別支援学級は、Apple社のiPadを引き続き用いることとなる。
①今回のGIGA第1期の取り組みの総括及び②これからのGIGA第2期に向けて強化していきたい方向性はなにか。
先日11月6日、令和5・6年度研究指定校である阪本小学校では、デジタルシチズンシップ教育の研究成果の発表会が実施された。本区のICT教育推進委員会委員長であられる東京学芸大学教育学研究科教授北澤武氏の講演会もなされ、私も拝聴させていただいたが、「学校現場におけるデジタルシチズンシップ教育の取り組みでは、1)メディアの特性を、体験を通して理解させること、2)保護者や地域と連携して取り組むこと、3)実際に子どもに触れさせて考えさせる体験を積むこと、が大切である旨」の重要な問題提起がなされていた。
③阪本小学校のデジラルシチズンシップ教育の成果をどのように、全校展開を考えているか。
7、使用期間の短いリース切れGIGA端末の他部署での再利用
今回、GIGA第1期の終了にあたり、学習用タブレット(以下、端末という)1万台余は、リース切れで業者に返却となる。
リース切れで返却する端末には、使用期間の短いものがあり、引き続き十分に作動が可能である。それらが回収され廃棄されることは、たとえリサイクルされて希少メタルを回収したとしても環境への負荷がかかることとなる。出来る限り、まだ使用可能な端末は、再活用の方向へ、区としてもリユースを考えてはどうか。
今後、多数のタブレット端末の配備を計画する庁内の部署はあるのではないかと考える。防災の観点からは防災拠点の各委員や消防団員、福祉の観点からは、通いの場や高齢者クラブの運営スタッフ、民生児童委員などである。
①この際、各部署に投げかけ、多量にタブレット端末の導入を考える部署がある場合、端末のリユースを検討してみてはいかがか。
環境負荷の低減と低予算でのICT化推進との一石二鳥の施策であると考える。
8、学校へ行かない選択をする児童生徒の多様な学びの実現
先日、昨年度の不登校の子どもの数が約35万人と報道された。毎年5万人規模で増えている。本区も、小学生107人全国平均2.0%のところ1.22%、中学生116人全国平均6.7%のところ6.8%、前年度から小学校は16人増加、中学校は20人減少している。学校間の割合の幅は、小学校が0.3%〜2%、中学校が5%〜7%である。
担任の先生らが連絡をとり全員の対応はできているものの、「機関につながっていない児童生徒」が、小学生25人、中学生20人合計45人とのことである。
本区では、学校へ行かない選択をする児童生徒への多様な学びの提供として、「適応教室わくわく21」、晴海西中学校へも来年度開設し全中学校で「別室登校」できる環境整備、「フリースクール」との連携等それぞれの居場所が整備されてきている。適応教室では「民間学習塾のクラス」を開講したり、来年度から「メタバースでの出席」の取り組みも開始予定である。
①まずは、全小学校へも、「別室登校」の場を早急に整備すべきと考えるが、整備の考え方をお示し願う。プレディ、学童、図書室、高齢者施設の一角などの場所をタイムシェアするなど、早急に拡大できないか。また、プレディサポーターのように地域ボランティアの力も活用して、別室登校の子ども達を見守る支援員の確保も、急ぐべきと考えるがいかがか。
②フリースクールに通う児童生徒は助成金申請数からは29人ということであるが、在籍校と当該フリースクールとの連携体制は取れているか。
③45名に上る「機関につながっていない児童生徒」へのアプローチとして、区は、いかがお考えか。それら児童生徒に寄り添うためには、親からも学校からも独立した立場で、本人の思いや考えを聞き、その思い考えを親や学校に言えるように支援し時には代弁し、本人の最善の利益のために行動する独立した第三者が場合によっては、必要ではないかと考える。のちに述べる子どもアドボカシーの実践者「アドボケイト」の役割であるが、本人の思い・考えを聞くために心がけている点は、何か。
④ご自宅からたとえ出られない場合でも、医療福祉とも連携し、「居宅訪問型児童発達支援」などの制度も活用し、ご本人ご家族と相談をしながら、訪問の形での活動の機会を提供できると考えるが、いかがか。文京区や台東区では本制度の活用ができており制度適応の拡大に向けた検討を望む。
最後に情報提供が重要である。⑤本人および家族に対して、「別室登校」、「適応教室」、「フリースクール助成」、社会福祉協議会に登録した「支援団体」の情報などをわかりやすく整理した一覧を作成し、ホームページへ掲載することや紙媒体を作成し、情報提供が行われているか。
9、中央区における子どもアドボカシーの実践
本年度は、『第三期子ども・子育て支援事業計画』となる『こども計画』策定及び『教育振興基本計画』中間年度の見直しが行われている。福祉保健部、教育委員会それぞれに、子ども基本法第11条の趣旨も鑑み、自治体の施策作成時の責務となった子どもの声を反映させながら計画を策定作業中であり、その手続きに感謝申し上げる。子どもの声を政策に反映させる、「システムアドボカシー」の実践例の一つと言える。
さて、『こども計画』の基本理念では、①『子どもも育む人も誰もが笑顔輝き、自分らしく成長できるまち中央区』と謳われている。子ども子育て会議の中で、基本理念含め各事業のありかたの丁寧な議論がなされてきたところであるが、本基本理念に込めた、区の思いは何か。
『こども計画』も『教育振興基本計画』も、その施策の推進に当たって最も大事なことは、事業を実施する支援者誰もが、施策の対象となる個別の一人ひとりの子どもの意見・思いを聞いて、その子の最善の利益の実現に向け、意見形成を支援し、表明を支援し、代弁できる、その結果、子どもが元気な気持ちになる、「子どもアドボカシー」の力を持つことであると考える。
「子どもアドボカシー」とは、それが実践されている欧米では、「子どものマイクになること」「子どもの声を運ぶこと」「子どもの声を持ち上げること」と説明されている。
先に述べた「不登校の児童生徒の支援者」、「一時保護所から家庭復帰する子どもが約30名おられるがその意見表明等支援員」、「子どもショートステイを提供する協力家庭」、「ファミリーサポートの提供会員」、「民生児童委員」、「保育士・教師」はじめ子どもに関わる全てのひとに、そして、子ども計画の基本理念が謳うように「すべての区民」が、子どもの権利や「子どもアドボカシー」について理解する必要があると考える。②研修の際に、子どもの権利や「子どもアドボカシー」を教授できているか。広く区民が、それらを学べる場はあるか。
「子どもアドボカシー」を実践する場合に、大切にしなければならない6原則があるといわれている。1)独立性、2)エンパワメント、3)子ども主導、4)守秘、5)平等、6)子ども参画の6原則である。③「子どもアドボカシー」を教授する場合に、どのような点に重きを置いて、子どもの支援者に伝えているか。
以上です。