インクルーシブ教育とは、何ですか。
性別・国籍・貧困・能力差・障がいのあるなしにかかわらず、すべての子どもが共に学び合う教育のことです。1994年ユネスコによるサラマンカ宣言で国際的に初めて提唱されました。
障がい児教育を見ると、文部科学省は、小中学校でのインクルーシブ教育について、通常学級や通級指導、特別支援学級、特別支援学校など「連続性のある『多様な学びの場』を用意しておくことが必要」としています。しかし、国連の障害者権利委員会から2022年9月に障がいのある子どもを分離した特別支援教育をやめるように勧告を受けました。通常学級に加われない障がいをもった児がおり、分けられた状態が長く続いていることに懸念が表明され、通常学校が障がいをもった児の入学を拒めないようにする措置を要請、分離教育の廃止に向けた国の行動計画策定を求めています。
誰もが地域の学校で学ぶ権利を持っており、共に学べないことは差別にあたります。ユネスコの『インクルージョンと教育』https://cice.hiroshima-u.ac.jp/wp-content/uploads/2020/07/a36386e7bf9d2592403419efd5f77883.pdfというレポートにも、「インクルーシブ教育の恩恵について議論することは、奴隷制度やアパルトヘイトの廃止の利益について議論することと同等である」(序文)と述べられています。
人員、財源など環境が整っていないからできないとして終わるのではなく、学ぶ権利に関わることであり、本人の意志も尊重しながら、直ちに解決が求められていると考えます。海外では、インクルーシブ教育導入が、全体の学力向上に寄与しているそうです。
SDGsにも「誰一人取り残さない」と謳われ、目標4は「質の高い教育をみんなに」です。インクルーシブな学校をどう作るか、今こそ地域で真剣に考えるべきことがらです。
https://drive.google.com/file/d/1eTdjktmQj9E1BcPJ_8nof8D5ZmUqhYfR/view
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⚫️サラマンカ声明「特別なニーズ教育に関する世界会議:アクセスと質」 (ユネスコ・スペイン政府共催、1994年)に於いて採択
https://www.nise.go.jp/blog/2000/05/b1_h060600_01.html
⚫️障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約)(Convention on the Rights of Persons with Disabilities)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html
⚫️障害者権利委員会
インクルーシブ教育を受ける権利に関する一般的意見第4号(2016年)
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/crpd_gc4_2016_inclusive_education.html
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⚫️インクルーシブな学校づくりハンドブック 東京大学
https://drive.google.com/file/d/1eTdjktmQj9E1BcPJ_8nof8D5ZmUqhYfR/view
バリアフリー教育開発研究センター
https://www.p.u-tokyo.ac.jp/cbfe/
⚫️朝日新聞 2023.03.21 (最終更新:2023.03.21)
インクルーシブ教育とは?実践に必要なことや事例、現状と解決策を紹介
https://www.asahi.com/sdgs/article/14851029
⚫️東京都 学校におけるインクルージョンに関する取組
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/special_needs_education/report.html
⚫️NHK インクルーシブ教育とは何か?(1) 障害のある子どもと共に学ぶ取り組み
https://www.nhk.jp/p/heart-net/ts/J89PNQQ4QW/episode/te/GNK6Q6NMN8/
インクルーシブ教育とは何か?(2)国際色豊かな小学校から見る実践例
https://www.nhk.jp/p/heart-net/ts/J89PNQQ4QW/episode/te/RM5236PWP3/#article
⚫️朝日新聞 障害ある人と無い人「線引きは難しい」 分離された特別教育の改善を
https://digital.asahi.com/articles/ASS4M4GFLS4MOXIE002M.html
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障害者権利条約
第二十四条 教育
1 締約国は、教育についての障害者の権利を認める。締約国は、 この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現す るため、障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯 学習を確保する。当該教育制度及び生涯学習は、次のことを目 的とする。
(a) 人間の潜在能力並びに尊厳及び自己の価値についての意識 を十分に発達させ、並びに人権、基本的自由及び人間の多様 性の尊重を強化すること。
(b)障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体 的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
(c) 障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とする こと。
2 締約国は、1の権利の実現に当たり、次のことを確保する。
(a) 障害者が障害に基づいて一般的な教育制度から排除されな いこと及び障害のある児童が障害に基づいて無償のかつ義 務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。
(b)障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地 域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の 初等教育を享受することができること及び中等教育を享受 することができること。
(c) 個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。
(d)障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支 援を一般的な教育制度の下で受けること。
(e) 学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全 な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措 置がとられること。
3 締約国は、障害者が教育に完全かつ平等に参加し、及び地域社 会の構成員として完全かつ平等に参加することを容易にする ため、障害者が生活する上での技能及び社会的な発達のため の技能を習得することを可能とする。このため、締約国は、次 のことを含む適当な措置をとる。
(a) 点字、代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、 手段及び様式並びに定位及び移動のための技能の習得並び に障害者相互による支援及び助言を容易にすること。
(b)手話の習得及び聾 ろう 社会の言語的な同一性の促進を容易にす ること。
(c) 盲人、聾 ろう 者又は盲聾 ろう 者(特に盲人、聾 ろう 者又は盲聾 ろう 者である児 童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思 疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最 大にする環境において行われることを確保すること。
4 締約国は、1の権利の実現の確保を助長することを目的とし て、手話又は点字について能力を有する教員(障害のある教員 を含む。)を雇用し、並びに教育に従事する専門家及び職員(教 育のいずれの段階において従事するかを問わない。)に対する 研修を行うための適当な措置をとる。この研修には、障害につ いての意識の向上を組み入れ、また、適当な意思疎通の補助的 及び代替的な形態、手段及び様式の使用並びに障害者を支援 するための教育技法及び教材の使用を組み入れるものとする。
5 締約国は、障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基 礎として、一般的な高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学 習を享受することができることを確保する。このため、締約国 は、合理的配慮が障害者に提供されることを確保する。
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