著作権法:
Ⅰ著作者の認定(2条1項2号)
1著作者とは
著作権法2条1項2号で、事実行為としての創作行為を行ったものが著作者であるとされています。
同条1項2号
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
この著作者に、著作者の権利が帰属します。
2どうやって判断するか。
ある著作物の創作過程において、その者が行った行為を客観的に観察し、それが事実行為としての創作行為と評価できるかどうかを検証する。
事実行為としての創作行為、創作的表現の作成といえるかどうか。
創作行為と評価できないもの
1)表現とはいえない行為
→単なる創作の依頼、アイデアの提供、抽象的な指示を行ったに過ぎない者
2)創作性のない行為
→資料の提供、キーボードの入力作業、資金面での援助など、物理的な協力を行ったに過ぎない者
3事実認定
事実認定を行うために、裁判例において考慮される点
→創作行為を行ったと主張する者の技能や経験、語学能力、職業、作成経緯、創作の動機、著作者としての一貫した行動、許諾契約の存在、過去における権利主張の有無など
4著作者の地位
ある人の名義で出版されている本が、実はゴーストライターによって作成されたものであったという場合、著作者はあくまで当該ゴーストライター
Ⅱ共同著作(2条1項12号):複数の者が共同して創作に当たる場合
1共同著作の要件
定義:2条1項12号
共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。
3つの要件が書かれています。
1)二入以上の者の創作的関与、2)共同性、3)分離利用不可能性
1)二人以上の者の創作的関与:Ⅰの著作者の認定に関する一般原則と一致
2)共同性:複数の者の創作行為に共同性
→典型例 二人で同時に1枚の絵を描いた場合
問題となる例
遺著補訂型:死亡した師匠の教科書を弟子が改定したという場合→判断は、あくまで客観的にみて「創作」という行為が「共同」して行われたと評価できるかどうかという点に帰着。
3)分離利用不可能性:その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないもの。
cf結合著作物:一人が作曲、もう一人が作詞。それぞれは分離して個別的に利用することができる。共同著作物ではない。
2共同著作物の効果
1)共同著作物の著作者人格権・著作権の行使
〇共同著作物の著作者人格権は、原則として著作者全員の合意によらなければ行使することができない(64条1項)
〇著作権は、共同著作者間の共有
→原則として、他の共有者の同意をえなければその持ち分を譲渡できない(65条1項)
共有者全員の合意によらなければ行使できない(同条2項)
〇差止請求、損害賠償請求等は単独で行うことができる(117条)
2)共同著作物の保護期間
共同著作者のうち最終に死亡した著作者の死後50年の経過により満了(51条2項)
Ⅲ映画の著作物の著作者(16条)
1 16条
(映画の著作物の著作者)
第十六条 映画の著作物の著作者は、その映画の著作物において翻案され、又は複製された小説、脚本、音楽その他の著作物の著作者を除き、制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。ただし、前条の規定の適用がある場合は、この限りでない。
2映画の著作物の著作者の認定方法
1)モダンオーサー(映画の著作物それ自体の著作者)のみ
クラシカルオーサー(映画の著作物に用いられた原作小説や脚本、音楽などの著作者、本案された)は含まれない。
2)全体的形成寄与者(一貫したイメージを持って映画製作の全体に参加している者)のみ
Ⅳ著作者の推定(14条)
1 14条
(著作者の推定)
第十四条 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
変名:ペンネームのこと
2推定の覆滅
推定規定であるので、事実によって反証されれば覆滅
以上
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