【連れてこられたばかりの野生のシカは警戒心が強いのです】
阿寒町の養鹿(ようろく)牧場を見学してきました。
見学したのは、阿寒町にある建設会社の北泉開発株式会社が行っている養鹿施設。
こちらでは北海道庁が始めたエゾシカ肉の食材化への取り組みに賛同して、建設業の新規分野参入の意味も込めて養鹿事業を始めたのだそう。
こちらでは囲い罠で生きたまま捕獲された鹿を一定期間育成して、それから屠畜のうえ解体してシカ肉を提供します。シカの解体は関連会社として(有)阿寒グリーンファームをつくりこちらが行うという一連の施設が作られています。
シカの猟期は10月末から年明けの3月末くらいまでなのですが、実はこの猟期は冬のためシカは食べ物がなくてやせ細る時期。これを捕まえても脂肪のノリが悪いために人間にとってはちょっと物足りません。
そこで春から秋にかけては餌を食べさせて太らせて、そこで秋からがシカ肉提供の旬の期間になるというわけです。
「エサ代だって月額数十万円くらいになるので馬鹿になりません。ハンターが撃てば駆除助成金として一頭数千円がもらえます。ところが罠で生体捕獲したのでは『駆除になっていない』という判断なのか、この助成金が出ないんです。同じように森林からはシカがいなくなっているのですから助成していただけると助かるのですがねえ…」
このあたりの行政の柔軟さはどうなんでしょう。
【エサ代だって結構バカになりません】
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生体捕獲は、こちらが養鹿事業を開始するのと時を同じくして阿寒湖畔の前田一歩園財団さんが囲い罠によって樹木に食害を与えるシカの捕獲を始めたことでそれを受け取るという需給関係が成立してぐっと効率化されました。
「自分たちで囲い罠で捕まえるところからやっていたのでは効率が悪くてとても無理でしょうね」とは曽我部社長の言葉。こうした需給関係ができたことがとても幸運だったわけです。
養鹿牧場と言いますが、それまで誰もやったことのない事業のためどんな牧場を作って良いかもわからず試行錯誤の連続。
牧場は今では約6haの第一牧場と5haの第二牧場があって、それぞれ最大約300頭を飼っているのだそうですが、あっという間に笹に覆われていた土地は笹が全部鹿に食べられてしまい、おまけにひづめで土をかっちゃくために土地の流亡も激しくなるのだそう。
牧場の囲いは一辺が15センチほどの針金の網で覆われていますが、これだと狐が侵入して生まれたばかりの小鹿が襲われたこともあったとか。
そのため下から数十センチの高さまで、より目の細かい金網を張るなど課題を一つ一つ解決する積み重ねの連続です。
【金網張りも試行錯誤の連続です】
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シカの解体施設では、ペット用のシカ肉ジャーキーを作っていました。今頃ハンターさんが持ち込むシカは脂肪分が少なくてペット用には適しているのだそう。またペット用となると骨なども好まれているとのこと。
【この時期のシカ肉はペット用に最適】
しかし原料肉供給と言う立場だとどうしても高くは売れないそうです。なんとかネット販売などで販路を拡大して加工品としての付加価値をつけたいところですね。
加工場では、こちらのシカ肉を使ったレトルトのスープカレーが打っていたので買い求めました。
早速食べてみると、大きな鹿肉ですが良く煮込んであるので柔らかです。ちょっとだけ野菜を足すとお店で食べるのとそん色ありません。
エゾシカ肉の食文化を復活させる様々な取り組みが進行中です。その一切れが地域振興につながっているのです。
【北泉開発株式会社養鹿事業部】
http://bit.ly/hm4avj
【エゾシカ肉のスープカレー】
http://bit.ly/eBaQBg
【肉がよく煮込んであってとても柔らかいのです】