北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

事業継続計画(BCP)とはなにか

2011-04-19 23:45:03 | Weblog

           【BCPの概念図~内閣府レポートより】  


 防災に詳しいコンサルタントの方をお招きして災害後の対応について意見交換をしました。

 そこで出てきたのがBCPという単語です。これは災害や事故によって通常体制での業務ができなくなったときでも事業の継続を追求する計画のことで、「事業継続計画」(BCP:Buisiess Continuity Plan)と訳されています。

 組織は、災害や事故で被害を受けても、取引先や顧客などの利害関係者から、重要業務が中断しないことや、中断しても可能な限り短い期間で再開することが望まれます。

 また企業にとってみると、事業継続は重要な業務の中断に伴って顧客が他社へ流れたり、シェアの低下、企業評価の低下などから企業を守る経営レベルの戦略的な課題と位置づけられでしょう。

 このことは行政や官庁にとっても同じことで、突発的に起こりうる事象に対してそれを受けたことを前提にどのように業務を継続しつつ回復を図るかを事前に検討しておかなくてはなりません。

 災害や事故を受けてなお事業を継続するためには、迅速な安否確認やバックアップのシステムや代替オフィスの確保、要員の確保、などが代表的な作業項目となるでしょう。

 これらは、事業内容や組織の規模に応じた身の丈に合った取組みが望ましく、多額の出費を伴わずとも一定の対応が可能なように、すべての組織において行われることが望ましいと言えるのです。


 BCPは災害や事故によって通常の業務が行えなくなる事態を想定して作られますが、洪水などは被害が出るまでに一定の時間的余裕があるのに対して、突発的でいつどのような規模で起こるかわからない地震を想定しておくと広範囲に対応が可能な計画が作られやすいと言えます。

 しかし今回の東日本大震災のような、津波による大規模な災害に対してなお適用しうるBCPを作っているところはほとんどなかったのではないでしょうか。

 わが釧路市もこれまでは津波対策として、500年に一度の確率で起こりうる津波による被害想定を明らかにした津波ハザードマップを作成し公表しています。(→ http://bit.ly/gfMPQx)

 しかしこれに伴うBCP作成まではまだ至っていなかったため、今後はこの整備が重要になってくることでしょう。

 また津波ハザードマップも公表はされているものの、まだまだ市民に浸透しているとは言い難いのが現実です。実際に、被災地を見てきたコンサルタントの方に言わせると、「津波ハザードマップがあったにしても、被害が出るという色がついているところと、被害は出ないとされているところの接点にいるあたりの人がまず避難しないのが現実」だとのことです。

 これらはあくまでも一定の規模の津波を想定したうえで作られているものなので、現実には津波警報が出されて避難勧告が出たら、とにかく安全な場所へ避難するという行動を身に着けていただきたいものですし、そのためにはもっと市民の皆さんとの防災対話が必要になるでしょう。


    ※     ※     ※     ※     ※


 BCPは起こりうる災害を想定して、それが起こってなお業務を継続できるように事前に考えておく計画なので、これがあれば事実上「想定外はない」ということになります。

 仮に大津波が来て街並みが大きく被害を受けたとしても、そこから何をどうやって業務を継続するかを考える計画なので、想定の範囲内に収まることになるのです。

 こうしたBCPの作成は行政や企業だけのものではありません。例えば繁華街のビルのスナックに至っても、「今この瞬間に震度6強の地震が発生したらどうなるか」、「今地震で停電になり、同時に大津波警報が発令されたらどうなるか」ということを事前に考えて作成すべきです。

 そしてそれに基づいて、『上階へ移動して備え付けの防災グッズによって72時間は耐える』などといった行動計画を作ることができるわけです。

 だから「今津波が来たらおしまいだなあ」とスナックでお酒を飲みながら嘆く客がいたら、「あら、そんなことありませんわ。当店はBCPができていますからそれにしたがってお客様を安全に誘導してそれと同時にお店ができるだけ早く開店できるように準備をしていますのよ」と言えば良いというわけ。

 そんなスナックがありますか?と笑われそうですが、要は大企業や官庁に限らずに、ありとあらゆる組織や個人において考えておくべきなのがBCP(事業継続計画)です。
 
 それを作成した証のステッカーでも貼ってあれば安心と言うわけで、末広の繁華街でもどこか出てこないものでしょうか。



【釧路市津波ハザードマップ(東部・中部)】
 http://bit.ly/gfMPQx
 


【事業継続ガイドライン 第一版 ― わが国企業の減災と災害対応の向上のために ―内閣府策定のレポート】より
  http://bit.ly/g3EMKw
コメント (1)
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