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【流域下水処理施設を襲った津波(3月11日)
被災地へ支援に行った下水道担当職員からの帰庁報告を受けました。
北海道からは被災後すぐに職員が派遣され(0次派遣)、次に派遣された一時派遣職員は岩手県久慈市へと向かいました。
そして第二次派遣職員として道内から道庁から3名、市町村から16名という総勢19名が3月30日から4月7日まで、仙台市南にある岩沼市という被災地へ向かいました。
岩沼市は人口44000人ほどの都市で、市の東側(=海側)を仙台東部道路と言う高速道路がとおっています。
今回の津波では一部の川をまたいだ橋からは水が浸入しましたが、この高速道路の盛土が広く防波堤の役割を果たしてくれて、市街地のかなりの部分が助かったのだそう。何が幸いするかわかりません。
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【岩沼市と流域幹線図】
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この岩沼市は、近隣の仙台市や柴田町、大河原町、白石市などとともに市町村を超えた範囲で対象人口28万人の流域下水道を整備してこれで住民の汚水処理を行っていました。
しかし海から450mしか離れていなかった「県南浄化センター」は今回の大津波で壊滅的な被害を受け、完全復旧までは最低2年はかかるだろうという見通しだとのこと。
処理場の復旧とともに、そこに至る長大な管路の被害状況を早急に把握して復旧を目指すための基礎調査に向かったのが今回の派遣隊でした。
岩沼市の場合は大津波の直接的な被害は受けなかったものの、地震による管路の異常と最終末の処理場の損壊によって下水道使用のめどが全く立っていない状態です。
上水道が圧力をかけて水を送るのに対して、下水道は基本的に自然の勾配で汚物を流してゆくので途中で勾配が狂ったり管路の断絶があったりすると下流への流れが阻害されてしまいます。
派遣隊は一班4人編成、四日間で岩沼市内の下水道管路の延長131km、886カ所のマンホールを調査し、うち208カ所(延長4.3km)で浮上及び沈下、滞水等の異常を確認しました。
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【一個一個のマンホールを確認します】
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【中の水の状況をチェック】
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【記録に残して図面に落としてゆきます】
一見何ともないように見えても、一個一個のマンホールを開けて、中の水の流れに異常がないかを確認。管の中については汚物をバキュームカーで吸い取った後に専用のカメラを入れて調査を行います。一個一個を確認して図面に落とし込んでゆくのは気の遠くなるような作業です。
今回はそうした異常があるかどうかの一次調査で、今後は以上に対して復旧の設計図を描いて施工をし直すための二次調査が入ってゆくことでしょう。
この地域では生活に欠かせない上水道がどんどん復旧してきているため水が使用されるようになっています。
処理場が機能しないままに汚水が流れてくるために、今は終末処理場の沈殿槽を使って上澄み液を消毒して川へ放流せざるを得ない状況。
上水道に比べて下水道の復旧のなんと時間がかかることか。正常な生活を取り戻すには年単位の時間がかかります。大きくは報道されないところでの被災の大きさは衝撃的です。
支援の手も長期にわたって何人もが入れ代わりながら継続的に行われなくてはなりません。
人間が作るものでひとりでにできるものは何一つありません。
その一つ一つが人間の手によって作られているのです。
今の社会を築いてくれた先人に思いを寄せながら復旧を進めましょう。