昨日開かれた、釧路臨港鉄道の会(会長星匠さん)の新年会に参加しました。
私自身は鉄道ファンというわけではありませんが、知人にこの会の会員が多いのでときどき声がかかっては参加させてもらっています。
特に昨日は、JR北海道の前釧路支社長である矢崎義明さんも参加するというので、喜んで出席しました。
矢崎さんは現在旭川で旭川ターミナルビルの社長として活躍中ですが、今回はSLの写真を撮るついでにこの会に参加したとのこと。
釧路地域に対する矢崎さんの功績は絶大で、ルパン列車を走らせたり、日本一長い各駅停車である滝川~釧路間の2429Dで、沿線のお酒を集めたツアーを作るなど、鉄道に関する話題を大いに振りまいた張本人。
そんな矢崎さんに敬意を表する意味でも参加できてよかったです。
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鉄道ファンが集まると、もう聞いていて訳が分からなくなるような細かい話題で勝手に盛り上がることが多いのですが、昨日一番の話題は、先週19日から運行を開始したイベント列車「SL冬の湿原号」が運休になったこと。
釧路地方では一昨日から湿った雪が降っていましたが、特に弟子屈の奥あたりの雪が多くて走れなかったのだそう。
この「SL冬の湿原号」は、座席を取るのも大変ながら、その雄姿をビデオや写真で撮ろうという、いわゆる「撮り鉄」と呼ばれる人たちにとっては憧れの的。
しかも特に、この1月26日と27日は、SL機関車二台による重連で走る予定でした。
しかしそれが早々とSL一両の車輪交換が必要という整備トラブルにより重連はなし。そのうえ、せめて一両のSLもなし、というわけで、「撮り鉄」にとっては最悪の一日となったのです。
撮り鉄つながりで、急に参加が決まった、大阪の堺市から来たという方は、「金曜日の夜9時40分発の堺市発新宿行きの高速バスに乗り、朝6時10分に新宿へ到着。そのまま羽田空港へ移動して、朝8時10分発のJALに乗って釧路空港へ到着しました。その足で釧路川沿いの撮影ポイントへ直行しましたが、運休と聞いてがっかりしました」と半分やけ気味に笑いを誘っていました。
【堺市からのゲスト】
地元の会員からは、「小松さん、こういう取り鉄の皆さんは、わざわざ遠くへ行かずに釧路市内に泊まりますから、地域への経済貢献は大きいものがあるんですよ」と教えてくれました。
確かに、たった一つの目的のために大変な旅をしながらわざわざ釧路へ来てくれるのですから、ありがたい話です。
願わくば、こういう人たちへの理解と観光サービスがもう少し増えてもよさそうですね。
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さて、そんな話を昨夜聞かされた今日の朝。
朝11時09分釧路駅発のSLは、なんとSLが逆向きになってバックで客車を引っ張るというこれまた珍しい走行になるとのこと。
これは撮り鉄の生態も見てやろうという事で、晴れてはいたものの風の強い中を釧路川沿いの鉄橋付近まで行ってみました。
すると、いるいる!
ひとりで2台も3台もカメラやビデオを持ち込んで三脚に固定している人たちが50人くらい今や遅しとSLを待ち構えています。
三脚を固定した人の中には、前に陣取る人たちに、「どうか立たないでくださいね」とお願いしたり、後から来て前に陣取るような人には、「頭下げて!後から来て、だめだよ」とやや殺気立つ雰囲気も。
この一瞬に賭ける必死の思いが伝わってきます。
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いよいよ駅からポーッ!という汽笛が聞こえ、遠くの黒い煙がもくもくと近づいてきます。
いよいよ鉄橋にさしかかると、興奮は最高潮。
バックで客車を引っ張る、今日でなくては撮れない映像が撮れて、皆さん大興奮のようでした。
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さて、SL湿原号が目の前を通過するのはほんの一瞬のことですが、撮り鉄はこれでまんぞくするような人たちではありません。
すぐに撤収した撮影機材を駐車場に止めたレンタカーに押し込むと、慌ただしく汽車を追いかけてゆきました。
「次は塘路湖周辺あたりで撮ろうかなと思っています」とは、昨日堺市から長旅で来てくれた方。
「道路は滑りますから、気を付けて」
「ありがとうございます、それじゃ!」
それもこれも、皆、釧路でしか撮れない鉄道サービスがお目当て。
それだけJR北海道が頑張って、道東の汽車の旅の価値を高めてくれているおかげです。
これからも根室本線、花咲線、釧網線を地域の宝として、大いに磨きをかけてやりたいものです。
実はこれもまた釧路の凄い資源なのです。