北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「やる気になったのは旅のおかげ」 by 吉田松陰

2017-11-26 23:51:01 | Weblog

 昨夜は防府市に宿泊。

 山口市あたりでも良かったのかもしれませんが、あまり土地勘がないので思い切って南下してみたのです。

 しかし昨夜ホテルにチェックインした後に夜の街を歩いてみると、祭り装束の青年たちがそこかしこにたむろしていました。今日になって防府天満宮に行ってみると、なんと昨夜が裸坊祭りという大きなお祭りだったことがわかりました。

 もう少し早ければ神輿など祭りそのものも見られたのですが、これはちょっと残念でした。

 しかし今日の朝に天満宮へお参りに行くと、昨日神様が乗った神輿が境内に置かれていて、これを磨き、くぐるとご利益があるという、後祭りに参加することができました。

 防府天満宮は、無実の罪で太宰府に流された菅原道真公が愛した土地で、日本三大天満宮の一つですから、いろいろな願い事にもご利益があることでしょう。

 
       ◆ 


 レンタカーなので移動は機動的です。

 宇部空港から帰る前に、西の小京都と言われる山口市内を見て回りました。
「瑠璃光寺の五重塔はぜひ御覧なさい」とだれからも勧められた五重塔ですが、確かにこれは立派なものです。

 檜皮葺の屋根が、質実剛健な室町時代を象徴しているかのよう。

 これがかつてこのあたり一帯を治めた大内義弘の墓で、実は瑠璃光寺というのは元々あった香積寺が江戸時代に毛利輝元によって萩に移され、その後に移ってきた寺なのだそう。

 かつて大内氏に仕えて滅亡に追いやった陶(すえ)氏の七代目弘房を弔うために作られた寺なのだと聞かされると、そうした敵同士がすぐ近くに鎮座しているというのも歴史の皮肉です。

 それにしても釘一本も使わずに(竹釘は使っているらしい)、主として木組みでこれだけの造作を作っているというのは素晴らしい技術ですし、なによりやはり美しいというのが素晴らしい。

 そのあとに室町時代の墨絵の大家である雪舟が造作した雪舟庭も見学してきましたが、いわゆる一流の芸術家は何をやっても一流なのか、と思うことと、庭園もこうした表現スタイルの一つだ、ということを改めて思い知るのでした。

 
       ◆  


 最後に旅の印象を一言。

 今回の旅では行く先々で「北海道の札幌から来ました」というと、非常に驚かれまた感動されました。

「はあー、それはまたずいぶん遠いところから来られましたねえ」というのが驚きの第一声ですが、それに次いで出てくるのは「それでも私も何度かは北海道へ行ったことがあるんですよ」というもの。

「北海道は良いところですもんねえ、食べ物は美味しいし、きれいだし」というのは定番のお褒めの言葉でありがたいのですが、では我々道産子がその逆に北海道にいて、「山口県から来ました」と言われたら、どれくらいの人が「良いところですよね、○○があって」といってあげられるものか。

 「私も山口県には何度か言ったんですよ、下関とか萩とか…」とお愛想の一つも言えるでしょうか。

 好かれていると思い込んで、来てくれることだけに慣れていないで、観光もお互いさまで、互いの魅力を褒めあって分かち合うような交流があった方がずっと楽しくなると思いました。

 萩の博物館で「江戸幕府を倒す初めのエネルギーはここ萩から出ましたが、その幕府が終わりを遂げたのは函館戦争でしたもんね」と言われて、長州と北海道のつながりを感じることができました。

 歴史を単独の知識ではなく、繋がっていることと意識することが大切で、そのために旅は欠かせません。

 吉田松陰はその短い生涯の中で青森県まで日本を縦断する旅をしていますが、最後に「発動の機は周遊の益なり(やる気になったのは旅のおかげだ)」と言ったのだそうです。

 旅はいろいろなことに気づかせてくれますね。

コメント
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