都市計画学会全国大会の最終日。
今日も午前から午後にかけて様々な論文の発表がありましたが、部屋をいそいそと替えながらお目当ての発表を聞きました。
分野が多少違っても、気になるところは積極的に質問をして若手研究者に大いに刺激を与えましたよ。
プログラムの最後にはワークショップの時間がとられていて、7つの部屋に分かれて興味深い報告の時間がありました。
私は「『持続可能な地域づくり』の学習をどう支援するか」というテーマのワークショップを聴きましたが、これこそ2020年から高校で必履修となる「地理総合」科目の問題でした。
この科目は教育内容として「持続可能な地域づくりと私たち(自然環境と防災、生活圏の調査と地域の展望)」ということが取り上げられています。
今日のワークショップでは、話題提供として文科省の担当者による経緯や狙いなどの説明や、都市計画に与える影響、高校での実践状況、大学における協力の可能性などをお話しいただいて議論を深めました。
そしてこの「生活圏の調査」とはなんぞやというと、課題例として「買い物弱者の問題」「住宅団地の空洞化」などが解説で示されていますが、まさにこれは都市計画学会が扱うジャンルではありませんか。
自分なりの課題をみつけて、それを地域に飛び込んで調査をし解決の方向性を探るという一連の授業時間を経ることで、地域に関心を持ち地域の暮らしを担う力をもった社会人を育てたい、という強い意向がうかがえます。
しかし実際には高校の社会の教員には歴史教育を専門とする方が多いだけでなく、地理を専攻した教師であっても、このようなまちづくりの具体的な手法やアプローチに長けている方は多くはないでしょう。
都市計画やまちづくりに携わるものとしては、この授業時間を面白いものにすることでこの分野に対して興味を持ち将来を担える人材が育成できるのではないか、という期待も大きいものがあります。
今後都市計画学会としても、北海道教育委員会などと意見を交わしどのような協力や支援がありえるのかを議論することが大事なタイミングです。
都市計画分野が教育分野と連携できる日が来るとは、大いなる頑張りどころでしょう。
ちなみに、講演を終えた文科省の方に「これは受験とはどのような関係になるのでしょうか」と訊いてみたところ、「それは大学入試センターが考えることですが、必履修の科目については教科になると思われます」というお答えでした。
まちづくりが受験の問題になる日も近いということでしょうか。
面白くなってきたぞー。