先日実家の老親を訪ねて、「最近変わったことはあったかい?」と訊いてみたところ、「トイレが壊れたのさ」と言う。
「だいぶ古かったんじゃないの?」
「平成16年に取り換えたから15年だよ。前から便座の温度が熱くなったり冷たくなったり変だったんだけど、とうとうウォシュレットが動かなくなってね。修理しようにももう古くて部品がないんだって」
「それだけ古いとさすがに無理じゃない?まあ寿命だね。それでどうしたの?」
「新しいウォシュレットに換えてもらったよ。最新式で何でもついてるわ」
なるほど、居間のテーブルには真新しいマニュアルが置いてあります。
「まあ新しいのは便座の前に立てば蓋が開くし、座って用を足した後は立てば流れるし、離れれば蓋もしまるし、覚えることってあんまりないんだけどね」
「へー、さすがは最新式だ。それでいくらしたの?」
「それがね、消費税が上がったのとそのタイミングで値上げしたっていうので20万円もしたのさ」
「おやおや、ずいぶん高いんじゃない。値段だけならもっと安いのもあったろうに。〇〇(しょっちゅう親元を訪ねてくれている弟)には相談しなかったのかい?」
「いや、してない。いつも頼んでいる社長に訊いたら『これがいいよ。他のメーカーのもあるけど、俺はこっちが好きだし』っていうからさ、お勧めの機種にしておいたよ」
もしも弟や私に相談してくれていれば、もっと安い製品を選べただろうなあ、と思いますが、普段の暮らしに身近なところで面倒を見てくれている地元の業者さんがいるというのは心強いのかもしれません。
値段が安くなる知恵が回るのが良いことなのか、はたまた地元で安心に暮らせればそれが一番良いのか、難しいものだなあ、と思った次第。
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一方我が家にはようやく冷暖用のエアコンが設置されました。
この部屋にエアコンをつけようよ、と妻から相談を受けて家電業者を訪ねてからほぼ2か月。
機器を買いに行ったところ、「コンセントの新設が必要ですね」から始まって、電気業者を探し施工を依頼、ようやくこぎつけた我が家のバージョンアップでした。
新しいことを始める決心とそれができる社会との関係性をどう保てるか。
こういうところにも生涯学習的な要素がたくさんありますね。