北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「もう一枚名刺をいただけますか」という秘書さんの心は

2020-06-03 22:59:40 | フライフィッシング

 先日あるそれなりの企業のトップの方に挨拶訪問をしました。

 事前アポはなしで飛び込んだのですが、秘書さんは私の名刺を受け取ると部屋の中のボスに報告。

「ああ、どうぞー」という声が聞こえて部屋の中に入ってしばし歓談。

 部屋は窓がかなりの広さで開けられていて、コロナ対策の換気であることが分かります。

「換気の励行は分かりますがこの季節、花粉症はありませんか?」と訊くと、「それが辛いんです。でも社内での示しがつかないので薬を飲んで耐えています(笑)
」とのこと。

 6月に入って少しずつ挨拶や他社訪問の機会も増えてきたとのことで、「早く経済が元に戻ると良いのにね」と未来への希望を語り合いました。
 

 頃合いを見計らって辞去し、部屋の外にいた秘書さんに「ありがとうございました」と挨拶をすると、「あのう、申し訳ございません。もう一枚名刺をいただけますでしょうか」と名刺を求められました。

(ハッ!)なるほど、もう一枚の名刺が必要な理由がすぐにわかりました。

「そうか、誰が訪問して接触したのかを記録管理しておかないといけないんですね」
「はいそうなんです。ありがとうございます」

 こういうところにその組織が鍛えられているところかどうかがわかります。

 良い勉強になりました。


     ◆


 先日ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツさんの「プログレッシブ・キャピタリズム」という本を読みました。

 この本に関しては別な機会にレビューを書こうと思いますが、示唆に富む内容で大いにインスパイアされました。

 彼自身の立ち位置はノーベル経済学賞を受賞した学者には珍しく民主党寄りで、トランプ大統領の政治姿勢には否定的。

 そのうえで彼は、「経済状況の変化を受容して、政府はその役割を変え必要な規制や公的支出を行わなくてはいけない。活力ある21世紀型のイノベーション経済、都市型経済、脱工業化経済をうまく機能させるためにはそうする必要がある」と述べます。

 そして「国民一人ひとりが単独で行動してもこれらの問題にはうまく対処できない。国づくりの基が農業時代であれば皆で力を出し合って納屋を建てるレベルだったが、時代が工業化さらに情報化・金融化・都市化してくると体系的な共同行動のレベルが必要となる」と言います。

 一人一人がどこにいたか、誰と会ったかといった情報も公共が情報として持てるようにならないとコロナのような未知の感染症を封じ込めるような共同行動はとれません。

 マイナンバーカードも「使えない」と蔑まれていますが、共同行動のレベルが中途半端であるからこそ使えないのでしょう。

 信頼できる政府とそれを支える新しい共同行動とはどういうことなのか。

 秘書さんの求める一枚の名刺について深く考えてしまいました。

 我々も一つ一つ考えて行動していかなくてはなりませんね。

 

コメント
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