こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『コンビニたそがれ堂異聞 千夜一夜』村山早紀

2021-06-11 20:08:06 | 読書感想
 
今回の連作短編は、一人の語り手だけで物語が進みます。
風早神社の巫女も務める女子高生・沙也加。
しかも、風早の街もコロナ禍にあるという状況。

今までとは違い、村山さんが珍しく時代を特定できるようにしたところが、現在のコロナ禍がどれほどのものかを物語っているように思えます。

その沙也加は幼くして母を亡くし、宮司と会社員兼業の父と、幼稚園児の弟との三人暮らし。
この状況でアマビエに出会い、弟の前世を知り、自身がかつて母を亡くした時の想いを思い出します。
当時、どうしてもたそがれ堂に行きたかったのに行けなかった事で、夢を、神様を信じなくなってしまった彼女。
今回、ある事をきっかけに、三回も行ける事になります。その理由とは?

今回の三つの物語のうち、私の一番のお気に入りは「星へ飛ぶ翼」
もし、恐竜の末裔が知的生物として生きていて、人間と共存できたのなら。
夢みる気持ちはとても分かります。

さらに、五千年後に自分自身は生きていなくても、個人情報とかではなく、何らかの思いや情報がどんな形でも伝わって、もしくは引き継がれていて欲しいと願う気持ちも分かります。

引き継ぐものが人類ではなく、他の生き物でも、あるいは無生物であってもかまわない。
完全に無になるのが切ないですよね?何か、残って欲しいです。
コメント
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