こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『怨讐星域Iノアズ・アーク』梶尾真治

2015-10-13 19:45:16 | 読書感想
アメリカのアジソン大統領がフロリダで暗殺されたのと前後して、米国の要人たちも消息が途絶えるというニュースが相次いだ。
その頃の都市伝説では、地球が太陽のフレア化によって消滅するという予測が大統領にもたらされたため、急きょ世代間宇宙船を建造。三万人を伴って地球を脱出し、新天地を目指している、というものがあった。

ところがその後、太陽のフレア化と大統領の地球脱出が事実だと判明。
人類が混乱に陥らなかったのは、距離を問題にしない物質転送装置が実用化されたためだった。
各国で、人々を大統領の目指す惑星へと送る転送装置が建造され、70%の人類が送り込まれた。
大統領たちへの復讐を合言葉に。

一巻では、新天地・宇宙船・地球それぞれに暮らす人々が第一~第二世代に渡って描かれています。
多分、一巻だけの登場でしょうが、地球の人々の平凡な日常が何よりも尊く思えました。

これから新天地と宇宙船の人々が世代交代し、苦難の末に再会するまで、何を思い、どう行動していくのかが気になります。
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『ランチのアッコちゃん』柚木麻子

2015-10-12 19:37:19 | 読書感想
派遣社員の澤田三智子が13時過ぎまでランチをとらずに働いていたら、アッコ女史こと黒川部長にランチに誘われた。
ただ、三智子はお弁当持参だったし、食欲が無く食べていないのだった。

その旨を伝えると、今度はそのお弁当を譲ってほしいと頼まれた。
しかも食後に、これからアッコ女史のランチとお弁当を交換してほしいというのだ。

読みたいと思っていたものの、優先順位をあとにしているうちに2年も経っていたのですね。
今回、図書館でようやく新刊のコーナーに並んでいるのを見ました。
それだけたくさんの人が、予約して借りていたんですね。

余談はともかく本の感想ですが、表題作のアッコ女史は、見た目と裏腹に細やかな気配りのある素敵な上司でした。
また、ゾノせんこと前園先生も、在学時代には分からなかった素晴らしい一面を見せてくれますし、「使えない」社員と思われていた佐々木玲実ちゃんも、立派に自分の道を切り開けるいいセンスを持っています。ちょっと、間が抜けてはいますが(苦笑)。

1時間ほどで読めたし面白かったので、『3時のアッコちゃん』も機会があれば読みたいですね。
うまくいけば、ディナーやブレックファーストかブランチのアッコちゃんなんかも・・・ないか(笑)。
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『王とサーカス』米澤穂信

2015-10-11 19:31:03 | 読書感想
太刀洗万智は、28歳のフリーの記者。
2001年6月にはネパールにいて、トーキョーロッジという安宿に宿泊し、知人の雑誌の海外旅行特集の事前取材をする予定だった。

しかし突然、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が起こり、万智は知人の許可を得て、事件の取材を開始した。
何とか情報を得ようと、内部を知りそうな軍人に取材を申し込むも断られ、そのためかその軍人は他殺体として万智に発見されることとなった。
その背中には、刃物でINFORMER(密告者)と刻まれていた。

善意で行ったつもりのことが、人を傷つけてしまうことがあります。
万智たちも万全を期して取材を行ってきたのですが、過去の出来事が思わぬ影響を与えました。
報道は、物事をサーカスにしてはいけない。
重い言葉だと思いました。
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『明日の子供たち』有川浩

2015-10-09 19:34:08 | 読書感想
元々営業をやっていた三田村慎平は、転職して児童養護施設『あしたの家』の職員として働き始めた。

しかし初っ端から、子供たちの中でも『問題のない子供』の一人である谷村奏子の機嫌を損ねたらしく、他人行儀な対応しかしてくれなくなった。
奏子は何に腹を立てているのか?

最初の三田村の対応のまずさは私にも分かったものの、子供たちが施設を退所して自立したときに、頼れる大人がいなくて困るというのは、目からウロコでした。

あと、杏里の対応について、小説の登場人物とはいえ、彼女が自立してからも待てずにああなることのないように冷静なときに教えてあげて欲しいと思いました。
多分、親代わりの職員に対してだけだと思うのですが、人間関係が構築できないし、場合によっては仕事を失うかもしれないよって。
すみません、心配性なんです(^^;)

何にしろ、勉強になりました。
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『花酔いロジック 坂月蝶子の恋と酔察』森晶麿

2015-10-06 19:31:27 | 読書感想
推理研究会ならぬ酔理研究会に入って二年目のオチョコ。
酔うためのサークルと言っても過言ではないのだが、オチョコは今まで酒に酔うことが無かった。
そんな彼女がこのサークル、略してスイ研に入ったのは、前幹事長・神酒島先輩のせいだった。

今回も、新幹事長になった三鳥先輩が行方不明になったり、人間の生き血で造る酒があるという噂の集落で「マリサンノ血を飲まされた」と言う外国人神父に出会ったり、後輩の凛子嬢と謎解き対決をしたりという状況になります。

そういう中で、オチョコの恋や将来の展望への不安がどう変わっていくかも読みどころです。
ところでこれは、オチョコが卒業するまでの連作になるのでしょうか?
だとしたらあと二冊?
どういう結末になるのかが楽しみでもあり、終わるのは寂しくもあり、です。
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