こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『本と鍵の季節』米澤穂信

2019-03-16 20:03:46 | 読書感想
仲が良く、図書室を遊び場にしていた三年の図書委員が受験勉強のために委員会を退いた後、図書室は静かになり、一、二年の委員も用が無ければ来なくなった。

僕こと堀川と、同じ図書委員の松倉詩門がカウンター当番をしている時に、この間委員を引退した三年生の一人、浦上麻里先輩に、彼女の亡き祖父の金庫の暗証番号の推理を頼まれた。

その後もなぜか、堀川行きつけの美容院での店長の挙動不審ぶりや、日頃、不良ぶっている生徒への生活指導の先生の言いがかり、自殺して三年生の先輩が最後に読んでいた本を探す事などを推理する機会に出くわす。

そして最後に、松倉自身から出た謎の真相を調べることとなったが・・・。

こっ恥ずかしい表現かもしれませんが、上質の連作青春短編ミステリです。
謎の推理自体も面白いのですが、堀川と松倉の、親しくはないけれど互いを信頼しているという関係性が、心地よいです。

ただまあ、図書委員で松倉みたいに日本十進分類法に詳しい人は、なかなかいないと思います。
私も知っているのは、小説の913くらい?

あと、どうか松倉がいつものように図書室のカウンターに戻ってきて欲しいですね。
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『早朝始発の殺風景』青崎有吾

2019-03-15 19:57:32 | 読書感想
高校生たちが主人公の、連作短編ミステリ。

始発の電車で学校へと向かう男女の高校生。
それぞれの目的と理由とは?

クラスTシャツのデザインと発注の仕事を押し付けられた仲良し三人組。
デザインの1つを考えた子は自分のを選ぶとして、二案のうち一方を選ぶのに、2人の考えが二転三転したのはなぜなのか?

フォークソング部の追い出し会のため、千葉でもローカルな遊園地をわざわざ選び、観覧車に乗るのは何のためなのか?

両親が離婚し、別々に暮らす兄妹。
猫アレルギーの妹が猫を拾い、飼えないかと兄を呼び出すと、捨てろ捨てないの口論になるが、兄が飼えないのには理由があった。

クラスで孤高の女子高生が、風邪のために卒業式を欠席した。
その真相が、思いがけない方向に行ってしまう。

エピローグで、これら5編のその後が描かれ、大団円となる。

初っ端から思いがけないタイトルの事実を知り、少し笑ってしまいました。

それぞれの日常の中から、十代ならではの思考や行動が現れてきます。

そして、表題作の二人の考えに同調してしまう自分が、成長していないのか、人として平均的な考え方なのか、悩んでしまいます。

とても面白かったです。
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『ランドスケープと夏の定理』高島雄哉

2019-03-13 19:48:22 | 読書感想
ラグランジュポイントのL2で、長期滞在型研究施設が運用されている近未来。

天才宇宙物理学者の姉・テアに、何かと振り回される弟・ネルスは、そこにある最先端の計算機によって、途轍もない理論たちを発見する。

北極圏では細々とクーデターが起こるのに対し、宇宙ではあまりにも広大な理論が見つかるという対比が面白く、同時に、その理論が軍事に利用される可能性が心配されるという状況は、かなりスリリングでした。

問題は、私自身がネルスの夏の定理と冬の定理を、よく理解できていないという事で、その分、面白さが減りそうなところが残念に思えました。

ただ、そんな理解度が半分以下の私でさえ楽しめるのですから、皆さんも、安心して読めると思います。
なに、数学や物理学の解らないところはすっ飛ばしてかまいませんので、とりあえず、最後まで読んでみてください。
それでも見えるものはありますので、そこを面白がりましょう。
あとは、解説の堺さんにお任せして解った気になれば、SFは何とかなります。

ずいぶん無責任な話に見えると思いますが、そんなものでいいのではないでしょうか?
別に、勉強しているわけではありませんし、楽しむのが第一です。
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『新章 神様のカルテ』夏川草介

2019-03-09 15:09:36 | 読書感想
栗原一止は、本人によると信州松本に住む実直にして生真面目の内科医らしい。
今回、彼と妻との間に、小春という新たな命がもたらされた。

また、信濃大学の大学院生として学びつつ、消化器内科第3班で、指導医の北条先生の下、相変わらず”引きの栗原”をやっていた。

そんな一止のところへ、ステージIVの膵癌の患者がやって来た。
29歳、心優しい夫と7歳の娘の母親で、かつて彼女の父親を看取ってくれた一止に診てもらいたいとの事だった。
その件が、のちのち一止の院内での立場を危うくするものになろうとは!

という訳で、栗原先生、ご無沙汰いたしておりましたが、歪みが多く、かなり個性的な上司がいる大学病院の中で、患者の為に医師をやろうとしてくださっていて、頭の下がる思いです。

逆に、これだけ癖の多い人々の中、ここまで真面目なのは、癖がありすぎなのかもしれません。
でも、それだけ正論を貫こうとするからこそ、中途半端な者とは違う結果を得られたのでしょう。
いや、本当。栗原先生は、格好良すぎます。
できれば、人間として、こうありたいという理想像ですね。
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CD『スーパー・ライヴ』茂木大輔

2019-03-04 20:53:37 | CD・DVD等
このほどNHK交響楽団を退職なさった茂木大輔さんのアルバムで、一番古い録音のものを地元のCDショップに頼んでみました。

やってみるもんですね、手に入りましたよ。
中古じゃないんですよ!

まず、茂木さんが若くてバブリーなファッションをしている!
1995年ですからねえ。

まあ、外見はともかく、演奏はとても気持ちよく聴かせていただきました。
バッハからモーツァルト、山下洋輔さんまで、多岐にわたる選曲で、とても楽しかったです。
ブログには書いていませんが、最新のアルバム「パリのアメリカ人」も、しょっちゅう聴いています。

できれば、少しずつ、茂木さんのアルバムを揃えて行きたいと考えています。
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