こっぱもちの部屋

主に、読書感想のブログです。他に、日常生活で楽しかったことを書くと思います。

『探偵は教室にいない』川澄浩平

2023-07-07 19:56:11 | CD・DVD等
 
海砂真史は、頭が切れても変わり者の幼なじみ、鳥飼歩に幼稚園以来会っていなかったが、中学生になってから久しぶりに再会してみると、ほとんど学校に行っていないという状態だった。
彼によると、中学校で学ぶ事は無いらしい。

そんなある日、真史の許に届いた差出人不明のラブレターが届き、不審に思った彼女は歩に相談に行ったのだが。

2018年の作品を、今頃読んで紹介するのに意味があるのかは分かりませんが、面白かったです。
鮎川哲也賞受賞作なので長編かと思いきや、四編から成る連作短編でした。

その中で私にとって一番印象に残る作品は、第二話。
才能があっても一家族に才能が二つあった場合、どうしても優秀な方だけが優先されてしまうという悲しい状況に、胸が痛くなりました。
それは両親がそうしたというよりも、一般的な家庭には二つもピアノを置いて防音までできないという事情もありそうですし、何より才能のある彼自身が選んだことでもあって、小説の登場人物に過ぎないのですが、やりきれない気分にもなりました。
もちろんミステリとしてとても面白く、他の三編も楽しく興味深く読めました。
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『それでも旅に出るカフェ』近藤史恵

2023-07-06 19:58:27 | 読書感想
 
新型コロナウイルスのパンデミックが始まって二年目の秋。
しばらく外出を控えていた間にカフェ・ルーズも休業しており、気になりながらも連絡手段もなく途方に暮れていた瑛子。
そんなある日、初めて行ったケーキ店でカフェ・ルーズのサイトを教えてもらう。

今回も、様々な生きづらさを抱えた女性が多く登場します。
そして唯一登場する男性が、女性を見下しマウントを取らないと気が済まない人種というのがねえ。
ああいう女性限定の威張りんぼは、実はコンプレックスの固まりで、腕力や恫喝で何とかなる女性相手にしか自己を肯定できないんじゃないかと思ってしまいます。
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ネタバラシあるかも?『掌篇 毒をもって・・・』草上仁 『SFマガジン2023年8月号』掲載

2023-07-03 20:17:28 | 草上仁
 
法廷から始まるという、草上さんらしい物語です。
ただ、法で禁じられているとはいえ逆に非常習者が気づかないというのは、禁止されてからよほどの年月が経っているというのでしょうか?

狂信的というのは、ある意味真実かもしれませんし、皮肉を込めたくもなるのかもしれません。
でもそれが著者の本音かと言えば、別の話になってきますし。

いつもより短い物語であるがゆえに、ネタバラシをしないで感想を書くのは難しいですね(;^_^A
私にとっては好きな話です。
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