興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

ゴーヤも伸長期から充実期へ

2024-07-28 | 随感・偶感・歳時感

6月末に苗で鉢に一株植えたゴーヤのつるが、どんどん伸びて、ベランダにまで達し・・・

 

 

 

   

ベランダにからまったつるに、ようやくいくつかの実(み)が生ってきた。(苗屋さんで安い残り物の苗を買った)

上の写真の実は先週は小さくて、よく見ないとあるかどうか分からないほどだったのに、今朝見ると長さが10センチほどに急生長している。

なんというたくましい生命力。

人間の成長段階には、背がどんどん伸びる「伸長期」と、脂肪と筋肉がぐんぐんついてくる「充実期」とがあるということを、むかし聞いたことがある。
きっとゴーヤも同じで、伸長期から充実期に入りつつあるのかもしれない。

蛇足ながら、わたしの場合は、腹部の脂肪を除いて ‘収縮期’ に入っているようだ。


オノマトペ食レポ・キュウリのまるかじり

2024-07-20 | 随感・偶感・歳時感

菜園から穫ってきたばかりのキュウリを、味噌をつけてまるかじりした。

シャキシャキとかじりながら、この ‘食レポ’ をブログでオノマトペ(擬声語、擬態語)を多用して書いてみようと思いついた。
以下の通りである。


畑から、もいできたばかりのキュウリを、洗って真ん中でパリッと折った。
新鮮なので、クニャッとしなったりはしない。いさぎよくパキッと折れる。

折れ口の表面に水分がにじみ出て、テカテカ光っている。みずみずしさの証明である。
折れたカドもキレッキレの鋭角。これも新鮮さの表れ。

ここに味噌をたっぷりつけ、ガブリとかぶりついた。

 パリパリシャキシャキムシャムシャ
 パリパリシャキシャキムシャムシャ(くり返し)

ゆっくりよく噛んでいると、しだいに甘みが感じられてくる。

キュウリはパリパリ感とシットリ感だけが取り柄なのではない。とくに有機肥料でじっくり育てたキュウリには甘みがある。
このキュウリ本来の甘みこそ、実はキュウリの主役なのだ。主役は遅れてやってくる。

キュウリまるかじりのもう一つの魅力は、キュウリのうるおいと味噌の旨みのデュエット(二重奏)であろう。

塩味の効いた味噌のコクとキュウリのシットリ感が、ぴったり息の合ったハーモニーを奏でる。
味噌がキュウリのみずみずしさを際立たせ、キュウリは味噌の旨みをジワジワと口中に広げる。

味噌とキュウリは、それぞれに個性を発揮しながら、きっちりと相手を引き立てている。人と人との関係もこうありたいものだ。


以上が「味噌付きフレッシュキュウリ」のオノマトペ食レポである。(下線部がオノマトペ)


なぜ「オノマトペ食レポ」を書いてみたかというと、最近テレビで聞く食レポは、「めちゃめちゃ旨い」「めっちゃ美味しい」という ‘めっちゃ表現’ が全盛で、わたしはそれにちょっと反発したかったからだ。

 

 

 

   

わが家の菜園では、さまざまな野菜が大きく育ってきている。

上の写真はタケノコイモ(サトイモの一種)。背丈はもうわたしの肩のあたりまでになっている。

タケノコイモの足元にあるのはショウガ。直射日光の嫌いなショウガは、タケノコイモの葉がいい日除けになっている。(いわゆるコンパニオンプランツ)

 

 

 

   

韓国トウガラシ。穫り頃を迎えた。

 

 

 

   

手前はキュウリ、奥はナス。これもほぼわたしの背丈。

今、順次収穫中。


老舗居酒屋の流儀

2024-07-13 | 随感・偶感・歳時感

先日所用で板橋方面に行った帰り、池袋の居酒屋、「千登利」に寄ってきた。

ここはわたしが行き始めて、少なくとも30年の余は経つ店だ。といってもさほど頻繁に通っていたわけではないので、真正の馴染み客とはいいがたい。

店内は入口から奥へ15~6人がすわれる長いカウンター席があって、これがメイン。あとテーブル席が少々。

居酒屋としては大きすぎず小さすぎず、「一人飲み」の好きなわたしには、カウンターにすわれば居心地のよい店である。

上の写真はこの店の看板メニュー、牛肉豆腐 650円。

お店を入ってすぐのカウンター内にある大鍋で、いつも大ぶりの豆腐と肉を追加しつつ、ぐつぐつと煮込んでいる。
注文があると牛肉豆腐専用の楕円形の皿に盛って、その上に刻みネギをたっぷり載せ、間をおかず出してくれる。

これがあればビール1本は飲める。あと、やきとん2~3本に日本酒2合もあれば、その夕、わたしには十分である。

 

 

 

    


実は昨年、何年かぶりで訪れて驚いたのだが、ずっと長くこの店を経営してきたマスターとママさんが亡くなっていたのだ。

カウンター内の壁際に、遺影風のママさんの小さな写真がおいてあったので、店の人に聞いてみると、そう教えてくれた。
ママさんは2年ほど前に、ご主人のマスターはそのまた2年ほど前に・・。

息子さんもいるらしいが、ほかの仕事についているのか直接店には出てこない。「わたしは ‘雇われ店主’ ですよ」とその人は言っていた。


ママさんはいつもシャキッと姿勢がよく、凛とした雰囲気をただよわせていた方だった。

一度、客のおじさんが、「勘定がおかしい」とクレームをつけていたのを目撃したことがある。

この店は、出した酒の徳利もビール瓶も、牛肉豆腐の皿も、その席の客が飲み終わって帰るまで、そのままにして片付けない。

やきとんを食べたあとの串は、自分用の小さい串入れコップに入れるルールになっている。
つまり飲んだあと食べたあと(跡)が、そのまま ‘目に見える請求書’ になっているのだ。

ママさんは客のおじさんにそれをていねいに説明し、毅然として後に引かなかった。そのときのクレームおじさんは、納得するしかなかったのである。


この店の日々のルーティンとしては、ママさんは4時半の開店から7時過ぎまでいて、後に来るマスターと替わるという形だった。
店員は ‘焼き’(やきとん)担当の人と、アルバイトの学生など3名ほど。

以前、マスターに聞いたところによると、店の始まりは終戦直後だと言っていたから、今年でもう創業80年近くになる。

形は若干変わったかもしれないが、やきとんと牛肉豆腐を軸に、メニューをいたずらに増やすことなく、同じような形をずっと続けてきたのであろう。

酒の燗も ‘チン’ などせず、むかしからきちんとお湯でつけていた。このほうが酒は旨いし冷めにくい。ここもわたしの気に入っていたところ。

店員が替わっても、客を大事にする心と店の流儀は変えない。これが池袋の老舗居酒屋としての千登利の評価を固めてきたのだと思う。

いまの ‘雇われ店主’ の人も、人柄が良さそうなので、また覗いてみようと思う。

この千登利については、このブログでも何度かとり上げている。ご高覧いただければ幸いである。
Breeze in IZAKAYA - 興趣つきぬ日々 (goo.ne.jp)


できるだけ背伸びせずに

2024-07-05 | 季節の移ろい

今朝、庭のカサブランカが咲いた。わが家で毎年咲くカサブランカは、大きな白ユリだ。

美しい見栄えのする花だが、心持ち下を向いて咲くので、控えめな雰囲気をただよわせている。
背伸びしたりかっこつけたりしない、わたしの好きな花の一つだ。

白いカサブランカの花言葉は「無垢」。

「無垢」をデジタル大辞泉で引くと、「煩悩のけがれを離れて、清浄であること」という仏語の意味があった。

煩悩のかたまりであるわたしではあるが、カサブランカを見習って、せめてできるだけ背伸びせずに日々過ごしたいものだ。

 

 

 

   

南東の窓の外に鉢植したゴーヤ。

つい先日植えたばかりなのに、どんどんツルが伸びて、二階のベランダ下まで届いた。
なんというたくましい生命力。

緑のカーテンとして、この夏の強い日差しを、少しはやわらげてくれることだろう。