‘心に残った言葉、共感した言葉’をとりあげる「名言・佳言ピックアップ」の第二回です。
「結局、あらゆる文化生活は、みんなが教えると同時に快く学ぶということにかかっている。反応を延滞し、「もう少し話してくれませんか」と言うことができ、反応する前に耳を傾ける――これが、この書が関心を持っている理論的原理の幾分かの実際的適用である」
(『思考と行動における言語 第二版』<S.I.ハヤカワ・著/大久保忠利・訳/岩波現代叢書>より)
『思考と行動における言語』は、言語学における古典的名著です。
推論による断定や安易な一般化、単純な二値的思考、思い込みによる偏見などの「言語の魔力」から、いかにすれば自由でいられるか。そのための理論的分析と方法を具体的に説いています。
ずいぶん昔に買った本で(奥付は1968年3月30日・第6刷)、言語学はこのあとさらに発展を遂げていることでしょうが、わたしは若いときにこれを読んで、言葉、言語の持つ面白さに目を見開かされる思いをしました。
この本で教えられたことは、その後の仕事(編集・文章作成)の中でも大いに役立ったと思っています。
ところで、最近は十分な証拠もないのに「推認」により断定(有罪判決)を下す裁判官がままいるようです。人権意識の希薄さもさることながら、これは人権意識以前の問題です。
そういう方々にはこの本を熟読玩味してほしい。
*写真はダブルデライト。わが家の庭で咲いたバラです。本記事と関係ありません。