興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

韓国ドラマ「恋のスケッチ 応答せよ1988」

2022-02-11 | 時には芸術気分

今年に入って、パソコンにDVDディスクをつなぎ、一人、何年か前に日本でも放映された韓国のテレビドラマ2シリーズを、集中して見た。
「師任堂(サイムダン) 色の日記」全30話と、「恋のスケッチ 応答せよ1988」全42話である。

それぞれ「通し」で見たら30時間、両方で60時間。一日2~3話のペースで見て20日ほどもかかっただろうか。見終わってさすがに疲れを覚えた。
それでも最後まで見切ったのは、両方ともとてもおもしろかったからである。

「師任堂」は以前にもとり上げたので、ここでは「恋のスケッチ」をご紹介したい。


「恋のスケッチ 応答せよ1988」の原題は「응답하라(応答せよ)1988」。「恋のスケッチ」は付いていない。

舞台は1980年代後半のソウル。1988年にはソウルオリンピックがあり、民主化を求める学生たちのデモもまだ続いていた。
携帯はまだ普及しておらず、通信手段は固定電話とポケベル。ドラマはこの時代背景を織り込みながら展開していく。

登場人物はソウルの下町、ソウル市道峰区双門洞(서울 도봉동 쌍문동)に住む隣同士の一般家庭(5家族)の人々。
幼なじみの高校生5人(男4人、女1人)の友情と恋模様を軸に、それぞれの家族が織り成す笑いと涙のヒューマンドラマである。


ドラマを見てわたしがいちばん感心したのは、大勢の登場人物の一人一人のキャラクターが、さまざまな出来事の中にそれぞれ鮮やかに浮彫りにされていたこと。
回をまたいできめ細かに張られた伏線。一言一言にリアリティがある会話・・。よく練られたシナリオである。

全体にコミカルなタッチで描かれているのだが、その中に人情をくすぐるエピソードが随所に織り込まれ、わたしは一人パソコンの前で、何度も笑い、何度も目頭を熱くした。

上の写真はメインキャストの一人、ソン・ドクソン(女優ヘリ)
シナリオだけでなく出演者の演技も、監督の演出も十分に練り上げられているのを感じた。

おすすめのドラマである。

毅然とした表情で - 興趣つきぬ日々 (goo.ne.jp)


毅然とした表情で

2022-01-23 | 時には芸術気分

昨年末に買い替えたパソコンにBD・DVDドライブをつけて、このところ毎日、韓国のテレビドラマ「師任堂(サイムダン) 色の日記」をだらだらと見ています。

500年ほど前の朝鮮王朝時代と現代とを、パラレルに描いていく連続ドラマで、1話1時間、全30回の長丁場。

まとめて見るには時間がかかってしかたないのですが、おもしろくてやめられない止められない、カッパエビセン状態です。

きのうまでで、ようやく第17話まで来ました。

主人公を演じているのは女優イ・ヨンエ。(上の写真)

この人は悪や不正、理不尽なものに立向かうときの、毅然とした表情がとてもいいですね。
知性と品性に清潔感もただよわせている。

このドラマの役柄にぴったりです。残りの13話も楽しみに見ていこうと思います。

 

 

 

 

    

きのう近くの公民館から見た富士山。めずらしくクッキリと見えていました。

このところ「寒」らしい厳しい寒さがつづいています。
節分は2月4日。寒もオミクロンも、早く明けてほしいものです。


『独学文章術』(礫川全次氏)

2020-08-16 | 時には芸術気分

きょうは本を一冊ご紹介します。

『独学文章術 ― 名文をまねて上達する
礫川全次(こいしかわ ぜんじ)著/日本実業出版社刊

「簡潔でわかりやすい文章、おもしろくて為になる文章、思わずマネしたくなる文章」を書くにはどうすればよいのか。
本書は、在野史家で著書も多い礫川全次(こいしかわ ぜんじ)氏が、近現代の作家・文筆家の名文を文例として引用しながら、文章上達のコツを説いた一冊です。

 シンプルで平易な名文を味わう(山本有三)(括弧内は文例)
 音読に堪える文章を書こう(尾股惣司)
 明確なメッセージを発しよう(伊丹万作)
 難しい理論でもわかりやすく説く(三浦つとむ、吉本隆明)
 時を超えて胸を打つ文章がある(「裁断橋擬宝珠の銘文」)

など、どの項も切り口が明快で、解説も具体的でわかりやすい。

といって、本書は単なるハウツー書ではありません。
採りあげた文例の背景やエピソードが語られ、文例以外にも名文筆家たちの残した「文章術に関する名言」が随所にちりばめられています。

著者の関心の広さと豊富な読書量を窺い知ることのできる、おもしろい読み物といってよいでしょう。

ところで、著者は「ブログも文章修行の場になる」とも述べています。
「不特定多数の読者の眼に、自分の文章をさらす緊張感」がよいとのこと。これはわたしもブロガーの端くれとして実感があり、共感するところ。

本書を、文章上達を目指す人たちに広くお薦めします。


韓国映画「1987、ある闘いの真実」

2018-11-02 | 時には芸術気分

韓国映画「1987、ある闘いの真実」(原題:1987 When the Day Comes)を観てきました。

全斗煥大統領による軍事政権下にあった韓国で、1987年に起きた民主化闘争を、実話をもとに描いた映画です。

韓国で昨年(2017年)末に公開され、1か月余りで観客動員数700万人を超えた映画とのこと。

・・・1987年1月、民主化を求める学生運動に取り組み、警察の取り調べを受けていたソウル大生が、取り調べ中に亡くなった。
そして、これが過酷な取り調べによる拷問死であったことが、警察の懸命な隠蔽工作にもかかわらず明るみに出てしまう。
これをきっかけに、数か月後には全国民を巻き込んだ「民主化闘争」へと発展していった・・・

過酷な拷問シーンなどもあり、見ていてつらい映画でしたが、今、韓国社会にはこれを作る制作者の力があり、それを受け入れる圧倒的多数の国民がいる。韓国という国は、日本より国民の政治に対する意識が高いのではと、昨今の日本の政治状況を見ていて、思ってしまいます。

 

 


   

映画は新宿のシネマート新宿で、お昼の12時半からでした。その前に、池袋駅北口の「天丼ふじ」で昼食。
天丼800円、おしんこ100円。てんぷらは注文を受けてから揚げるので、熱々。エビのてんぷらもプリプリしていて、とても美味しかった。

天丼をゆっくり味わっていたせいで、シネマート新宿には開始ぎりぎりの5分前に到着。
この日は平日なのに意外に混んでいて、最前列の数席しか空いていませんでした。
これを見ると、日本人の ‘政治意識’ も、決して低くはないのかもしれません。


映画「万引き家族」を観に池袋へ

2018-06-30 | 時には芸術気分

池袋のシネマサンジャイン池袋に、映画「万引き家族」を観に行ってきました。

今年のカンヌ映画祭、最高賞パルムドールを受賞した、今話題の映画です。

家族とは何か、幸せとは何か。そして常識とは、社会秩序とは・・・。
さまざまなことを考えさせてくれる映画でした。

この映画がパルムドール賞に選ばれたのも、人間や社会の ‘あるべき姿’ の裏にひそむ矛盾や現実を、鋭くえぐっていたからかもしれません。 

 


 

   

信代(‘家族’ の母親役)を演じた安藤サクラさんの演技がよかった。
刑務官の尋問に答えるシーンでは、しゃべりながらにじみ出てくる涙と、それをぬぐうしぐさが自然で、もはや演技の枠を超えていました。

また、この供述のなかに是枝裕和監督の、この映画に対する制作意図がたくさんこめられていたようにも思います。

 

 

 

   

映画のあと銀座に出て、画廊ナカジマアートで画家堀文子さんの本や絵葉書、一筆箋を買ってきました。

堀文子さんは今年100歳の現役画家で、わたしはこの人の絵も文も大好きです。とくに「慣れない、群れない、頼らない」と標榜する堀さんの生き方に共感します。


画廊を出たあと、田端の居酒屋「初恋屋」に行って、親しい友人たちと「群れて」きました。

   
   *写真協力:Y.T.氏。 


新宿散策と韓国映画「タクシー運転手」

2018-05-13 | 時には芸術気分

ひさしぶりに新宿まで行ってきました。爽やかな天気だったので、しばしアチコチ散策。

 

 

 


  

ここはJR新宿駅東口から新宿通りをはさんですぐのところ。「モア4番街」というようです。
知りませんでした、通りの名前まで。
この先が歌舞伎町方面で、昔はここをよく通ったものですが・・・。

 

 

 


   

「シネマート新宿」でのお目当ての映画までだいぶ時間があったので、まずはこのモア4番街脇の「カフェ ラ ミル」で昼食兼ひと休み。
サンドイッチとコーヒーのセット、1100円。

 

 

 

 

    

映画は韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」(原題택시운전사)でした。

1980年5月の光州事件(全斗煥らによる軍事クーデター時、韓国全羅南道中央部の都市・光州<광주>で、学生や市民たちのデモに戒厳軍が銃を向けた事件)をベースに描いた映画です。

・・・主人公のタクシー運転手マンソプ(演者ソン・ガンホ)は、ソウルから取材のため光州に入りたいというドイツ人記者を乗せて、外部と通行も情報も完全に遮断された戒厳態勢下の光州へ、山あいの裏道をたどりながら奇跡的に入る。
そこでマンソプと記者は、戒厳軍がデモの学生、市民を暴徒とみなし、暴行、銃撃を加える凄惨な現場を目撃する・・・

国軍がほぼ丸腰の国民に銃弾を浴びせた光州事件。映画は、韓国現代史最大の悲劇ともいわれるこの事件を映像によみがえらせた話題作で、韓国で1200万人を超える観客を動員したとのこと。

光州での軍側の執拗な追跡をかわしながら続けたドイツ人記者のカメラ取材、そしてその後の光州からの脱出劇を、マンソプはタクシー運転手として命がけで支えたのです。
最後までハラハラドキドキさせられながらの二時間余でした。

 

 

 

   

一時間ほど新宿通り辺りをぶらぶら歩き、映画の興奮を冷ましてから、もう一つのお目当てに。
西口の「へぎそば 越佐庵」で、昔からの親しい友人たちに会いました。

https://www.youtube.com/watch?v=uDy9Bd08CH4


ムーミンってどんな子?

2018-05-02 | 時には芸術気分

「ムーミン」キャラクターの皿です。

スーパー「いなげや」の販促キャンペーンで手に入れました。

わたしは昔むかし、まだ若いころ、会社の同僚女子社員に、
「余白さんて、ムーミンに似ている!」
といわれたことがあります。

そのときわたしは、あまりいい気持ちがしませんでした。

なぜなら見るからに気の弱そうな、人の好さそうなあの表情が好きになれなかったのです。
わたしは高倉健かゴルゴ13のような、キリっとした顔になりたかったのです。

 

 

 

 

    
                           (「ビッグコミック」2018.5.10号より)

でもその同僚女子社員の言葉から数十年経った今、わたしはムーミンでいい、いやムーミンがいい、と思うようになりました。

というのは、気の弱い(これはその通り)、人の好い(これは異論があるかも)人間であるならば、無理してキリっとするより、自分をそのまま素直に出すほうがいいと思うようになったからです。

正直なところ、わたしはまだ「ムーミン」の原作(フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの小説)を読んでいないので、ムーミントロール(いわゆるムーミン)のもともとの性格を知りません。

ネットで少し調べると「活発で素直でちょっと弱気な男の子」とあります。かつてイラストを見てわたしが抱いたイメージとは、少し違うのかもしれません。

こんど原作を読んでみなければ・・・。


韓国映画「国際市場で逢いましょう」

2018-04-01 | 時には芸術気分

先日、韓国文化院での「韓国映画企画上映会」に行ってきました。

今回の映画は「国際市場で逢いましょう」(原題:국제 시장)。

・・・朝鮮戦争(1950~1953)の混乱の中で、父と妹のマクスンと離れ離れになってしまったドクス。
母と幼い弟妹とともに、釜山の国際市場(こくさいいちば)で叔母のやっている小さな露店に身を寄せた。
やがて成長したドクスは、別れ際に父が言った「長男として家族を守れ」という言葉を胸に、日々懸命に働くのだった。
厳しい家計を支えるため、西ドイツの炭鉱に出稼ぎに行ったり、ベトナム戦争に従軍したりもした。そして生死の瀬戸際に何度か立たされる・・・。

 

 

 

    

朝鮮戦争後の激動の時代を、懸命に生き抜いた一人の男の物語でした。
そして同時に、家族愛の物語でもありました。

涙もろいわたしは、握りしめたハンカチを何度目頭にあてたことか。(映写会場が暗くてよかった)

ドクスが妹のマクスンをテレビの ‘訪ね人番組’ で探しあてるシーンでは、恥ずかしながら嗚咽をほとんど抑えきれませんでした。

 

 

 

   

映画が終わって、赤く泣き腫らした目で電車に乗り、池袋で降りて「三福」へ。(またかい)


韓国映画「弁護人」

2018-03-09 | 時には芸術気分

昨日、四谷三丁目の韓国文化院に、映画を観にいってきました。
韓国文化院の「韓国映画企画上映会」です。

映画は「弁護人」(原題:변호인)。

舞台は1980年代初頭、民主化運動が弾圧されていた軍事政権下の韓国・釜山。
国家保安法違反の容疑で捕らわれ、厳しい拷問によって自白を強要された若者たちの冤罪を晴らすため、国を敵に回すことも辞さず一人立ち上がった弁護士ソン・ウソク(ソン・ガンホが熱演)の物語です。

 

 


    

韓国現代史の一コマを浮き彫りにしつつ、「国家とは何か」「人権とは何か」を鋭く問うた力作です。

「国家の主権は国民にある。すべての権力は国民に由来するのだ!」
と法廷で叫ぶ、名優ソン・ガンホの迫真の演技も見ものです。

いい映画でした。‘憲法改定’ が政治の俎上に載りつつある今の日本。何を変えるのがよく、何を変えてはならないのか。
この映画には、それに対する多くの示唆があるように思いました。日本でも、今こそ多くの人に見てもらいたいものです。

 

 

 

   

帰りは池袋で降りて居酒屋「三福」へ。

カウンターで隣りに座ったおじさんが、わたしの頼んだ「マグロユッケ」(写真)を見て、
「それ、何だい?」
と聞いてきました。美味しそうに見えたのでしょう。
マグロユッケだよと答えると、おじさん、さっそく注文していました。

   


理屈を超えた精神性

2017-12-29 | 時には芸術気分

三日ほど前、上野経由で新橋まで行ってきました。

上野では国立西洋美術館(上の写真)で絵葉書を買って、常設展をちょっと覘いてきました。

国立西洋美術館の常設展には、わたしは結構何回も来ています。なぜなら無料で入れるからです。(単なる年齢特典でしょ)

 

 

 


   

ここでは常設展の絵を絵葉書にしているのです。

世界的に名高い名画の数々が、美しい印刷による高い再現性で、しかもよい紙質の絵葉書として廉価に買うことができます(90円)。

ところで、常設展の絵の中で、わたしの好きな絵をあえて二つ挙げるとすれば、

「悲しみの聖母」(カルロ・ドルチ)
「果物籠のある静物」(コルネリス・ド・ヘーム)

ということになるでしょうか。

「悲しみの聖母」は聖母のその深い祈りの表情に、「果物籠のある静物」は ‘生(なま)もの’ のような果物の写実性に強く心ひかれるからです。

でも、ここの絵葉書がいくら再現性が高いといっても、あたりまえかもしれませんが、目の前で原画を直に見るのには敵いません。
原画からは言葉では容易に表現できない、理屈を超えた生きた精神性が伝わってくるからです。

とはいえここの絵葉書がわたしは大好きで、なくなると都心に出たついでに買いに来ます。

 

 

 

    

新橋です。

ここにある馴染みの酒亭が、地域再開発のため今年いっぱいで立退きをせざるをえなくなったとのことで(来年別な場所で再開予定)、一度顔を出しておこうと思ったのです。(とはいえ、二年ぶりの訪問)

 

本ブログ、今年はこれが最後の記事となります。

更新もまばらな小ブログに、いつも思いのほかたくさんの方々においでいただき、心からありがたく存じております。
年末のこの機会に、あつく御礼を申し上げる次第です。

来年も背伸びせず、自分の実感で日々の感動を綴ってまいりたく存じております。今後ともよろしくお願い申し上げます。


「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」

2017-07-06 | 時には芸術気分

新宿のシネマート新宿まで、韓国映画「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」を観にいってきた。

 

 

   

朝鮮王朝最後の王、高宗(고종)の愛娘、徳恵翁主(덕혜옹주 1912-1989)を描いた物語である。

時代は「大日本帝国」が「大韓帝国」を併合した20世紀の前半。占領下の皇女、徳恵翁主は13歳で日本に留学させられ、そのまま38年間、故国の地を踏めずに暮らすことを余儀なくされる。

映画自体はかなりの部分フィクションが加えられ、ドラマチックな展開で、泣かせどころも多く、わたしは思わず引きこまれて観てしまった。

映画評を離れて、わたしが感じたのは、誰がどう正当化しようが、どう理屈をつけようが、武力による国同士の争い、力による占領は、国を問わず、大多数の人々の幸せを生むことは絶対にない、ということである。

 

 

 

   

池袋で降りて、映画の余韻をかみしめながら、しばし蕎麦屋酒。(池袋、満留賀)

 

 

 


   

鯛の刺身に燗酒。

〆にモリソバ。
静かな一人酒のひと時を過ごしてきた。


I NEED TO BE IN LOVE

2017-04-25 | 時には芸術気分

カーペンターズの曲はどれも大好きだが、その中からあえて一つを選ぶとすれば、I NEED TO BE IN LOVE(日本語でのタイトルは「青春の輝き」)だろうか。

 “私には愛が必要だってこと、自分でも分かってるの” (訳:余白)

というフレーズが入っている。

歌詞も素敵、メロディもきれい、伴奏もよし、なによりカレンの声と発音が美しい。

「発音が美しい」というのは、わたしがそう思うのでなく、実は今から20年ほど前、わたしは英語を一生懸命勉強していて、その当時、会社の同僚だったネイティブのアメリカ人が言っていたのだ。

地方訛りのまったく無い、標準的なアメリカ英語なのだそうだ。

そのころわたしはカラオケなどに行っても、ナット・キング・コールの「モナリザ」や「プリテンド」などを、おくめんもなく歌っていたものだが、カーペンターズの歌は難しくて歌うことができなかった。

連音の具合か、発音の間合いか、カセットテープ(上の写真)で何十遍聴いても、いわば体に浸透してこなかった。

何十遍では足りなかったのかもしれない。何百遍と聴いていれば、わたしの英語力も、もう少しマシなものになっていたことだろう。


『ふたりユースケ』 好評発売中! 

2017-04-09 | 時には芸術気分

児童書の新刊をご紹介します。

『ふたりユースケ』 (三田村信行・作/大沢幸子・絵/理論社・刊)

・・・父の転勤で小さな町に越してきた小5の「小川勇介」は、その町で神童といわれていた「大川雄介」の ‘生まれ変わり’ ということにされてしまう。

勇介が神童・雄介に “生き写し” だったからだ。

神童・雄介は勉強ができただけでなく、礼儀正しく、言葉遣いも丁寧で、町中の誰からも敬愛され、さびれてしまったこの町の将来を担う「希望の星」でもあった。

ところがその雄介は、二年前の中学二年生の夏休みに、川におぼれて死んでしまったのだ。

そこに転校してきた勇介は、神童・雄介の生まれ変わりとして、町中の人々の期待を背負うハメに・・・


文句なしにおもしろい児童書(創作児童文学)です。子どもだけでなく、大人が読んでもぐいぐい引き込まれてしまう。

町の人々の期待を一身に負った転校生・勇介は、その後どうなるのでしょう。
ぜひこの本を手に取ってみてください。大きなドラマ展開が待っています。

小学生、中学生のお子さん、お孫さんに買ってあげて、後で借りて読むのもいいでしょう。

https://honto.jp/netstore/pd-book_28334988.html

https://www.amazon.co.jp/%E3%81%B5%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B1-%E4%B8%89%E7%94%B0%E6%9D%91-%E4%BF%A1%E8%A1%8C/dp/4652201931


向日性

2016-08-25 | 時には芸術気分

ハクサイとレタスの芽が、見事なくらいいっせいに、太陽のほうを向いています。

さきほど朝日が昇り、左手のほうから光が差し込んできました。

生きものにとってお日さまは、命の糧(かて)であり、希望なのですね!

もちろん、人間にとっても・・・。


  ・・・・・・・・・・
  If you smile through your fear and sorrow
  Smile and maybe tomorrow
  You'll see the sun come shining through for you
  ・・・・・・・・・・ 
  今はたとえきみに 恐れや悲しみがあったとしても 
  ほほ笑んでごらん
  そうすればきっと 明日には雲の合い間から 太陽の光が
  輝いてくれる きみのために
 ・・・・・・・・・・
 (チャップリンの映画「モダンタイムス」テーマ曲「Smile」より)
 *作曲/チャーリー・チャップリン  作詞/ジョン・ターナー、ジェフリー・パーソンズ  意訳/余白

https://www.youtube.com/watch?v=a0Hi-ZKAKMo(ナッキン・コール/歌)


ほほえみの御仏-二つの半跏思惟像

2016-07-02 | 時には芸術気分

上野の東京国立博物館に行ってきました。

特別展 「ほほえみの御仏(みほとけ)  二つの半跏思惟(しゆい)像」 を見るためです。

 

 

 

    

日本の国宝、奈良中宮寺の 「半跏思惟像」(左) 韓国の国宝 「国宝78号 半跏思惟像」(右) が並べて展示されているのです。

 

 

 

 

    

ここは東京国立博物館本館の入口を入ったところ(展示されている部屋では撮影禁止)

 

ひと月ほど前、友人からの情報でこの展示会のことを知ったわたしは、これは何をおいても行かねばならぬ、と思いました。

なぜなら、微笑みを浮かべた菩薩像として名高いこの中宮寺の半跏思惟像は、わたしが永く、奈良まで行ってぜひ直接見たいと思っていたものだったからです。
それが東京で見られるのです。

実際に見た半跏思惟像は、深く瞑想(思惟)に沈んだ、穏やかで優しい表情をしていました。

体の線から指の先までいさかかの力みもなく、大きな耳は目の前に相対する人の悩みや思いをなんでも聞いてくれそうです。

微笑みの像といわれるのは、口もとが左右にわずかに引いていて、微笑んでいるように見えるところから来ているのでしょう。

柔らかさの中に、この上ない気品をたたえた御仏でした。


一方、韓国国宝78号 半跏思惟像は、意外にも中宮寺の半跏思惟像より二回りほど小さな像でした。

パンフレットや館外の案内板で、同じ大きさに表現されていたからそう感じたのかもしれません。

いちばん印象的だったのは、この半跏思惟像がほんとうに ‘微笑んで’ いたことです。

口もとだけでなく、目もとにも明らかに笑みが浮かんでいます。(韓国語には눈웃음<目笑>という言葉がある)
見る人をそのまま丸ごと、優しく受け容れてくれる表情です。

この半跏思惟像も、ほんとうに素敵な仏像だと思いました。韓国の人たちが、これを国宝として大切にしているのが、よく理解できた気がします。

 

 

 

 

     

「二つの半跏思惟像」展 のあと、神保町に出て、あちこち見て歩き、神田まつや(蕎麦屋)までそのまま足をのばしました。

 

 

 

     

ずいぶん歩きました。 まずビールの小瓶で渇いたのどを潤し・・・。

 

 

 

     

     燗酒に変え、焼き鳥。

そして〆は、温かいかき揚げ天丼。

たっぷり歩いたあとのゆったりした 時間、‘ほほえみの一杯’ を楽しんできました。