前半の推理劇で、推理の内容がいちいち画になり推理している金城武がその過去の場面に入り込んで観察しているといった演出テクニックは直接にはロバート・ダウニー・jr版の「シャーロック・ホームズ」あたりだろうが、40年前だったらアート・フィルムでしか使われなかったようなテクニックです。
農民が土を起すときに虫を殺しているかもしれないと祈りをあげているあたり、いっけん妻子と平和に暮らしている男ドニー・イェンの正体が現れてくるプロセスとともに、人が平穏に暮らす裏にどんなダークサイドが隠れているかもしれないというモチーフが見える。
いよいよ本格的なアクションシーンが始まる呼吸は久しぶりにわくわくした。
暗い森の中のシーンも怖い。
舞台になる村が川のそばを通り越して、村の中を急流が流れているというのは、意識的に最初から作っているのではないかと思える。
川が人生をあらわすのは普通の発想だが、それが穏やかな流れではなく激流というのが、ここでの世界観ということだろう。
ドニー・イェンのドラマと金城武のドラマが別々にあるようで、うまく「」と『』に入ったようでバランスがとれている。
あと、中国の匪賊の恐ろしさというものが良く出ていたと思う。
(☆☆☆★★★)