丸山昇一が松田優作にあてて書いたという元のシナリオ「ドッグ・レース」では、大物の国賓が東京に来たので関東周辺の警察は応援で出払ってしまい、手が足りないところを狙って犯罪者が暗躍するのを、応援のいない状況で追わなくてはいけなくなる刑事たちが主役だった、と又聞きしている。
舞台を歌舞伎町に設定したところでこの案はチャラだろうが、元の方がおもしろくないか、というのが正直な感想。
というか、この話にはこれといった軸がないのです。
MIBの一作目、「リック」(公開が遅れたプラピの初主演作)、「エアフォース・ワン」の看板が写るところを見ると、1997年の暮れから翌年正月にかけて撮られたものだろう。
崔洋一としては「月はどっちに出ている」以来の、中国人・韓国人入り乱れての犯罪沙汰を描いているわけだけれど、15年も経つとかなり古くなっている気がする。今や単純に出稼ぎに来るばかりではないものね。福建語と広東語とではまったく通じないあたり、中国といってもひとくくりにはできない。
ただ、歌舞伎町の裏道の風景はそれほど変っていない印象。更地になったままの場所とかもかなりあるから、何かしらビルができたり、テナントの出入りもずいぶんあるのだろうが、ごみごみしている全体の感じはさほど変らない。
防弾チョッキしていたって、撃たれたら相当なダメージあるはずで、クライマックスの銃撃戦はあまりリアリティない。足を使った追っかけは結構いいだけにマイナスが目立つ。
(☆☆☆)