木村文乃と笑福亭鶴瓶という人選、特に後者が適任だったのかどうか、その良し悪し以前に映像と音響だけて見せる体験タイプの映画にナレーションつけて説明する、しかも見ていてナレーションの内容がかなり陳腐でうるさいなあ、もともと人間以外の世界には言葉はないではないかと思わせていたのだから配給側の判断には異を唱えたくなる。
ましてナレーションなしの版を見る選択というのが実質ないのだから。
ドキュメンタリーとはいっても大幅に再現ドラマ的に俳優が演じる映像を織り込んで、古代や中世の人間がどのように森を切り拓き、田畑を作り、作物を荒らす動物を排除していくことで人間以外の動物を滅ぼしてきたか、というのが描かれる。
オオカミが撃たれて倒れる映像なんていうのも出てくる。エンドタイトルで「動物はまったく傷つけていません」とあるが、これはテーマからしても当然だろうが、トリックにせよ殺す場面が出てくるのには違和感を覚える。
前半はどうやって撮ったのかわからないような、オオカミや馬などが森の中を疾駆するのをフォローしたりカナブンが飛ぶのを浮遊するカメラがついていく(ドローンを使ったのか?)カメラワークが見せ場で、人間の手が入らない原生林の映像を提示できたらいいのだが、あいにくもはやそういう実物は存在しないのが表現とテーマの矛盾として残る。
後半人間が手を入れることで変容してしまった「自然」=ふつう自然の風景というと思い浮かべてしまう野山の風景が、前半とのつながりでまったく本来の姿ではないことが見ていて自然にわかる。

本ホームページ
シーズンズ 2万年の地球旅行@ぴあ映画生活
シーズンズ 2万年の地球旅行 公式ホームページ
映画『シーズンズ 2万年の地球旅行』 - シネマトゥデイ