今回はワールド・トレード・センターのツイン・タワーの間に張られたワイヤーを渡った曲芸師、という最大限に3Dの大画面にマッチした素材をつかんだのがまず成功の第一。ものすごい高さとケーブルの細さのコントラストは何か気味悪くなるくらい。
それと9.11で崩壊したこのビルをありったけの映像技術を駆使して再現することで、あのテロで打ち砕かれたかのように見えるものの再生を謳う。
主演のジョゼフ・ゴードン・レヴィットが実在のフィリップ・プティがフランス人ということがあるにせよかなりの部分をフランス語で通しているのが、当然のように英語で通してしまうメジャーハリウッド映画とは違っていてアメリカ万歳の鼻白むところが薄い。
もともと個人的なアナーキズムに近い、およそ意味のない行為に賭けるところから始まり、順々に仲間というか共犯者が集まっていく過程で何か一種の社会性というか他者に対するつながりができていって、しまいには世界に広がっていくのが自然に辿れる。
初めの方でベン・キングスレーの師匠に芸人に必要なのは観客に対する敬意だと説教されて反発するのが、クライマックスで他者に対する敬意がわいてくるのが説得力をもって描かれるのが見事。
(☆☆☆★★★)
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