呪いや怨念やあるいはドラキュラやゾンビのように何者かおぞましいものが伝染していくというパターンは展開が未来に向かって広がっていくわけだけれど、ここでは過去に向かって広がっていき、しかも不条理で筋が通らない飛躍があちこちに現れる。
そして今ここにいることが何か呪いの集積の上に立っていて、劇中で佐々木蔵ノ介の夫のセリフで「そんなこといったら地上に呪われていない場所なんてなくなってしまう」とさらっと言うのが後になってじわじわ効いてくる。
「予防」したりよそに離れたりすれば呪いから逃れられるという見込みがなくなってしまうことになるからだ。
黒い人影が這って迫ってきたりするかなりわかりやすいホラー表現より、隣の部屋で変な音がしたり、すうっと誰もいないのに明かりが点滅したり、電話がかかってきて(今どき公衆電話から!)妙なことを言われるといったある程度日常的な怪異表現が効いている。
竹内結子と橋本愛と美女ふたり揃えて(竹内の方は作家という役柄上ダサい恰好しているがよく見るとメガネはおしゃれなのがご愛敬)それほどきゃあきゃあいうような恐怖演技はさせず、じっくり微妙に現れる奇怪な現象に敏感に反応するセンサーとしての役割をさせている。
隣でさらさらいう音や、床下でごそごそいう音(さすがに本当に下から音が来るようにはできなかったが)など小さな、よく耳をすまさなくてはいけないような音響がよくできている。
ブニュエル的な夢のシーンの表現もいい。
(☆☆☆★)
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残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋- 公式ホームページ
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映画『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』 - シネマトゥデイ