人を食っているといったら、伊藤若冲が描く仔犬が丸まって顔はおろか手足もろくに見えないモコモコした白い塊なのが可愛いし、大根が土に埋まっている食べる白い部分をまったく描かず地上に出ている葉っぱの部分しか描いていないというのもふざけている。
若冲の群鶏図の屏風の折り一つ一つに鶏がすべて違うポーズで描かれているが、尾羽が大きく弧を描くように威勢がいい。
福神たちの画もさらっと描いているだけのような筆致なだけにかえって恐るべき画力がわかる。
河鍋暁斎の木の上に登っている亀というのもそれだけで相当おかしいが、その甲羅から仙人の髭のような長い線が下に伸びている、というのは何かと思ったらあんまり長生きしたから生えてきた証だと。
日本美術の人をくったユーモラスな部分が印象的。
もともと正月に合わせた展覧会とあって富士山などの縁起ものや賑やかな画が集められている。
ゆかいな若冲・めでたい大観 ―HAPPYな日本美術―
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