prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「見えない恐怖」

2016年12月06日 | 映画
リチャード・フライシャーの今ではあまり見られなくなったクラフツマンシップ横溢の演出を楽しむ。一家皆殺しになっているのを盲目のヒロインが気づかずに通り過ぎてまわるあたりのカメラの置き方、人物配置、音楽を使わない処理などぞくぞくします。
風に吹かれて空の薬莢が転がるところだけ見せて撃たれているところは見せないなどの演出もじわじわくる。

台所で割れたガラス瓶の破片が散らばっているそばを裸足(足の感触を確かめやすくするためだろう)のヒロインが歩いて回るあたりのサスペンス、刺さる時のショックの作り方なども見事なもの。

全盲の女性が殺人鬼に狙われるという話は今はPC上難しいだろうし、ジプシー(字幕でもそう出る)の扱いも同様だろう、と余計なこと(失礼)を考えて見ていた。

ミア・ファローの目を開けたままの盲目演技は目が見えている時のとそれほど変わらないのが混ざる(特にラブシーン)けれど、あちこちぶつかるわ泥まみれになるわで相当サディスティックな気分になる。

出だしから星のマークがついた皮のブーツを履いた男の足のアップをずうっと追いかけて顔を見せない。「激突!」みたいに見せないで通すのかと思うとそこまで徹底はしていないのが中途半端だし、やっている役者からすると損な話。余談だが、ポール・ニコラスという犯人役の役者さん、「チェーンヒート」の監督と同姓同名なので同一人物かと思ったが違うみたい。

舞台になる屋敷がずいぶん大きい。ロケでまかなう(家の中から外を見通せる効果が大きい)関係上大きい必要があったのかも。撮影は「スター・ウォーズ」などのゲリー・フィッシャー。カメラの位置、動かし方がいちいち適格。
(☆☆☆★★)



12月5日(月)のつぶやき

2016年12月06日 | Weblog