この映画の演出構成の中島貞夫監督は千葉生まれで日比谷高校から東大を出たわけで関西人ではないのだが、東映に入社してからは京都撮影所の仕事が主体みたい。東京と京都の違いというのを見ている方はあまり意識しないのだが、作っている方は多分ぜんぜん違うのだろう。
個人所蔵だったという伊藤大輔監督「長恨」の一部が見られるのだけれど、一部だけでもちょっと驚くような張り詰めた緊張感に満ちていて、手持ちと思えるぐらぐらしたカメラワークを1920年代のサイレント映画期にやっていたというのも驚き。
阪妻や千恵蔵、アラカンなどの時代劇スターたちが個人で映画製作プロを続々と設立したのも当時20代から30くらいだったはずで、この映画では特に断ってないが若者のエネルギーの産物だったのだなと思った。
ちゃんばらがただ刀を振り回してもダメで人物の情念を昇華した末の斬り合いでなくては意味がないというのはまったくその通りだと思うが、その情念そのものが描きにくくなっているとも思える。
中島貞夫監督による実在しない時代劇のクライマックスはよくできていて、逆にそこに行くまでがなまじ退屈で興を削いでしまうことも多いのではないか。
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