最初の方の少年二人のトム・ソーヤーとハックルベリー・フィンみたいな旅の描写がかなり本格的に抒情的で「スタンド・バイ・ミー」風味が漂い、死体を探しに行かなくてもぶつかってしまうという展開がまたアメリカ文学の伝統であるイノセンスとその喪失とつながってくるのはラストの展開からいってもかなり明確に思える。
クライム・ムービーとすると悪い保安官が自分のパトカーを盗まれたのに気づくのに30分、本格的に追っかけになるまでに1時間かかるのだからお世辞にも運びがいいとは言えない。案外作者はハラハラドキドキより本格的なドラマ志向、文学志向なのではないか。