prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「タンポポ、ニューヨークへ行く」

2017年02月09日 | 映画
「タンポポ」が作られて30年以上、当時のアメリカではラーメンといえばカップラーメンが辛うじて上陸していた程度だった。
それが今ではNYには各種のラーメン店があちこちにあり、日本で修行してアメリカで店を出している店主もいたりして、ラーメンというのは店によって全部違うものだと語る。実際そうだものね。

そのNYで4Kレストアされた「タンポポ」が再上映されたわけだけれど、一番端的な人間の欲望、食欲に加えて性欲、それにまつわる生と死といったモチーフは古くなりようがなく、細部の日本的な目新しさは最近ますます人気だろうし、知的な笑いといったところがNYでは受けているのだろう。
他の伊丹作品がどの程度海外で評価されているのか知らないが、「タンポポ」が頭ひとつ抜けている感じはする。
インタビューされるアメリカ人たちがどの場面が好きか聞かれて答える答が全部違うのがアメリカらしい。

あとしきりと指摘されるのが形式の独創性で、伊丹十三自身ブニュエルの「自由の幻想」だと言っているけれど、緩いしり取り形式はとっているがまあ融通無碍な形式で、伊丹は自分の作品は一種の日本人論だとかねがね言っていたが、日本で一種の自由さを担保しようといるとヤクザとか刑事とかある程度自由に動ける職業の人間に託したりするけれど、そうではなく作者の精神と姿勢が自由である必要があるという発言が出る。

ところで、これは別に中傷する意図はなしで言うが、大友柳太郎のラーメン道の先生に渡辺謙が教えを受けるシーンのやりとりは、東海林さだおの「ラーメン大好き!」というエッセイが元です。セリフの細部に至るまでほぼ忠実で、金銭的な形で解決しているが、結構こういういただきはあるらしい。

タンポポ、ニューヨークへ行く - 日本映画専門チャンネル



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2月8日(水)のつぶやき

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