prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「愚行録」

2017年02月27日 | 映画
監督がポーランドで映画を学んできたと聞いていたので、どんよりと鉛色に濁った色がクシシュトフ・キェシロフスキの「殺人に関する短いフィルム」のようだなと思ったら、撮影監督がピオトル・ニエミイスキとポーランドの人でした。

オープニングからなめるような移動撮影が随所に使われ、なんともいえない粘着的な感触を出した。 

出てくる人間たちの顔が今の主流のつるんとした顔ではなく、独特のくさみを持ったのが並ぶ。美人だ美人だと言われ全てに恵まれて育ったという設定の女性も例外ではない。一番端正な妻夫木聡が実はとんでもないことになっていくのが計算だろう。

満島ひかり周辺の狂気の表現はうまくいっているのもそうでもないのも混ざっていると思う。

記者がぐるぐる関係者に話を聞きながら一家惨殺事件の核心に迫っていく話かと思っていると、いつのまにか迫る核心が円の中心から円の外に出てしまうような奇妙な展開を見せる。

最近、こんなに登場人物がぷかぷかタバコを吸う映画珍しいと思ったら、ちゃんとストーリーに絡んできたのに感心する。

かなり観客の想像に任せている表現を目指しているけれど、もう一つアクセントをつけてもいいと思う。
(☆☆☆★)

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2月26日(日)のつぶやき

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