「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」という邦題は宣伝部がスカしてつけたのかと思ったら、映画の終わりの方で意外な意味があるのがわかる。
交通事故で突然妻をなくした男が、まったく悲しくないアパシー(無感情)状態になってしまう。
当人が一種、壊れた状態になるのだが、それが鬱っぽい調子で描かれるのではなく、妙にすっこ抜けた、時にはよってはユーモラスですらある調子で描かれるのがユニークなところ。
特に周囲の機械部品を本当に分解しだしてしまい、中を見たがるようになるという症状はかなり可笑しい。
さらに解体業者の仕事を見ていて急にやりたくなってスーツ姿のままハンマーをふるって家の解体を始めるという冗談みたいな展開が痛快。一方で家を壊すというのは相当な重労働なのだなと思わせる。
ときどきストーリーと関係ないフラッシュバックやイメージカットが入ってきて適度に通常の映画の流れを壊すとともに美的センスを見せる。
一方で相当にムチャな自分の身体を傷つけるような真似をして平気というあたり、ひやっとさせられる。
さらに自動販売機がうまく動かなくて商品が出ず、わざわざ機械に書いてあるトラブル時の連絡先をスマホで撮って、それで苦情の電話かメールをするのかと思いきや、不思議なことにわざわざ手紙を書く。
手書きの手紙、という今どき連絡するだけだったら誰が使うのか、というツールを改めて持ち出したのがおもしろいところ。
(☆☆☆★★)
雨の日は会えない、晴れた日は君を想う 公式ホームページ
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映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』 - シネマトゥデイ
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