prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「レッド・ファミリー」

2017年03月27日 | 映画
ひとつ屋根の下に暮らす中年の男女と若い男女の四人、一見韓国の普通の四人家族、実は互いにまったくの赤の他人で全員祖国に家族を人質にとられている北朝鮮の工作員たち、という設定一発でほぼ完成してしまったみたい。

四人のうち若い女が一番階級が高くて父親みたいな歳の男に恫喝的な「指導」を行うあたりの転倒した感じ、といったものがまず来て、隣の資本主義的、というか享楽主義的な一家をいちいち批判するあたり、相当にブラックなおかしさが出る。

もっともそういう不自然な状態を続けるのは難しくて、いかに本当の家族を人質にとられているとはいえ、一緒に暮らしていれば情は移るし、そんなに厳格に訓練されている風でもなくてやることは相当に隙だらけ。
隣の音がこちらに筒抜けになっているということは、こちらの音も隣に筒抜けになっているということではないか。

というわけで後半はだいたい予想通りの展開になる。北朝鮮だから、という興味本位から離れているので、どういう政治的評価を受けるについてはわからないが。
脚本はキム・ギドク。自分が監督する時より良くも悪くも常識的になっている感。






3月26日(日)のつぶやき

2017年03月27日 | Weblog