背後にハリウッドの夜景が広がり、山の稜線が黄昏の光に縁どられている微妙な時間帯を狙ってのデュエットのこれまたワンカット撮影など、ミスしたらまるまる一日、天気が変わったらもっと待たなくてはいけないところではないか。撮影はフィルムでもポストプロダクションでデジタル技術で作ったのかもしれないが、基本は撮影の一回性に賭けている。
今どきわざわざ35mmフィルム撮影を採用する一方で、自由自在に動き回れるおそらく最新の移動機材を使って踊りをカットを割らず、昔のフレッド・アステアのソロをカットを割らずに移動して収めるために特製の移動機材をスタッフが開発したのを思わせて、とにかく流麗に動きながら(しかも動き過ぎるのがうるさくならない)演者を追い続ける。
実をいうと歌や踊りそのものは、もちろんあちらの役者のことだからちゃんとやっているけれど、それ自体が見ものになっているかというとやや疑問。
ミュージカルの良い意味でロマンチックで現実離れした魅力というのは見る側がスレてきている現在では成立しにくいのだけれど、バカ正直にミュージカルの再生を目指したボクダノヴィッチやコッポラよりは計算している。
ラストシーンが「未来世紀ブラジル」の順番を逆にしたみたい。公開前に編集でかなりいじったというけれど、この順番が逆になったらすごく後味悪くなっただろう。恋愛の夢うつつの時期と幻滅の時期のうち幻滅を重く描き過ぎないように苦心しているし、だから受けているように思う。
色の合わせ方がまことに徹底していて色がそれだけで売り物になったテクニカラー時代の色彩設計の徹底ぶりを思わせる。
(☆☆☆★★★)
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