あの思い切り振りきった見世物映画とは大きく変わって非常に複雑な構成と語り口、そして人物を細かく描写する作りに転換していて、ひとつ突き抜けた感じがする。
謎が解けて一件落着としてのではなく、そこに至る複雑な過程を、直線的なストーリーより文体を味わうような映画。
頭に脳波を検出するギアをつけているところからも、ちょっと「エクソシスト2」を連想したりした(実際、似たシーンもある)。
父親役に「ブレイキング・バッド」のピンクマンことアーロン・ポールを据えているあたりにキャラクターの描き方の微妙さが見て取れる。
どこか冷ややかな感じがするくらい一種知的な肌ざわりなのだが、カナダ資本が入ってカナダロケということもあるのだろうか。
ルイ役のエイダン・ロングワースがちょっと「ブリキの太鼓」のダーヴィット・ベネントを薄味にしたみたいでぎょろっとした大きな目に成長することに対する微妙な屈折を見せる。
(☆☆☆★★)
ルイの9番目の人生 公式ホームページ
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