全編舞台は日本だけれどわざとだろうが無国籍的。美術は「キル・ビル」も担当していた種田陽平だから意識的なものだろう。
エンドタイトルを見るとスタントは大半が日本人スタントマンで、これだけ数がいて派手なスタントをこなしているのは心強い。
言うのもヤボだが、細かいことは気にしないようにして見てもまあ乱暴な話。山場のお話の謎解きとアクションが回想とカットバックしながら描かれるのがどうも流れが悪い。どっちかひとつにまとめてくれと思った。
倉田保昭が出てくるところでいきなりほとんど主役みたいになるのがご愛敬。
香港時代のドメスティックで食用油の匂いがしそうな画面に比べて、全般につるつるピカピカになっている。出てくる女性たちが特にそう。
男たちの挽歌の英語題名 Better tomorrow がセリフの中に出てくるところがある。
おなじみの2丁拳銃、「ハードボイルド」ばりのバイク軍団、「狼」ばりの祭りとカットバックされるアクション、そしてもちろん白いハトと、ジョン・ウー印が随所に刻印されているけれども多すぎてほとんどセルフパロディみたいになっている。
主人公の名前がドゥ・チウというのだが、漢字で書くと杜丘で、これはオリジナルの「君よ憤怒の河を渉れ」の高倉健の役名の杜丘冬人の姓を姓名にして中国読みにしたものなのだね。
オリジナルでは主人公は検事で、国家権力の一部だった男が国家権力である警察に追われるというアイロニーがあったわけだけれど、弁護士と私企業の話になっている今回にそういうテイストはない。
ジョン・ウーの娘のアンジェルス・ウーが殺し屋役で出ているが、父親そっくりなのがちょっと可笑しい。
(☆☆☆★)
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