実際、「glee」みたいにミュージカルナンバーはおおむねイメージ=心象風景として現れ、それ自体をショーアップするのが目的ではないのと、ストーリー自体はすごく単純で作った綾といったものはほとんどない。
冒頭、亡くなった父親の棺に置かれる百合の花、という映像からゲイであることが直感できるあたりわかりやすいし、その後も視覚的な花のモチーフは階段に積もった色とりどりの落ち葉を含めて繰り返されることになる。
金持ちのゲイが金で体を買う段になるといきなり態度が横柄になって紙幣を床に放るあたり、経済的格差が性差を凌駕する構造を端的に見せる。
LGBTQに対する差別、無理解、苦悩、仲間を得た悦び、といった要素が短い中に整理されて入っていて、最終的に自分を隠さが肯定するに至る締めくくりは強いてドラマチックに盛り上げないが、ダンサー体形とは限らないそれぞれ個性的な肉体のLGBTQたちが踊る実物の映像が流れるエンドタイトルがものをいうことになる。
「サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所」 - 公式ホームページ
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