prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ビール・ストリートの恋人たち」

2019年03月09日 | 映画
なんとなく黒人の色彩感覚というと原色を多用した派手派手しいものと思ってしまっていたのだが、「ムーンライト」といい、これといい、バリー・ジェンキンス監督作とのカラーリングはなんともいえない柔らかく光が差しているような色合い、画調を出しているのが大きな魅力だし、黒人とひとくくりできないさまざまな感覚があるのを知らされる。

オープニングで出てくるカップルの着ている服が、同じようなブルーとクリーム色を上着と下のシャツで配色を逆にしているあたりから、色彩設計の綿密さはすでに明らかになる。

法の執行者が完全に敵にまわっていて警官が黒人をあたまから犯罪者扱いにする理不尽さ、刑務所に収監した人数が多すぎて冤罪の主張が無視され、むやみと長い刑期を務めなくてはいけないなど、社会派的なポイントは多いのだが、それらはやや背景に沈めて男女間、親子間のさまざまな形のラブストーリーとして叙情的に描かれる。

原題はIf Beale Street Could Talk もしビール・ストリートが話せたら、だが、ストリートの壁にしみついた赤い染みが何事かを語っていたりする。

エンドタイトルに流れるBilly PrestonによるMy Country Tis of Theeは1977年のロバート・アルドリッチ監督の映画「合衆国最後の日」の主題歌でもあるけれど、ピルグリム・ファーザーたちから始まった国という歌詞が奴隷として連れてこられた黒人たちにとっては皮肉に見える。

「ビール・ストリートの恋人たち」 - 公式ホームページ

「ビール・ストリートの恋人たち」 - 映画.com

3月8日(金)のつぶやき その2

2019年03月09日 | Weblog

3月8日(金)のつぶやき その1

2019年03月09日 | Weblog