prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ロミオとジュリエット(1968)」

2020年09月09日 | 映画
久しぶりの再見。
ダニーロ・ドナティの衣装はキャピュレット家の人間は明るい暖色系で、モンタギュー家のは暗めの寒色系という具合に文字通り色分けしているのに気づく。

それが主人公二人きりの婚姻の場ではロミオはいつもの青系統の服を着ているのに対して、ジュリエットは紫色の服になっている。
赤青を合わせた両家の和解(の期待)を表した色演出といえるだろう。
さらにラストで並んだ二人の遺体に婚姻の時と同じ衣装を着せて、悲劇と引き換えの両家の和解を暗示していると考えていいだろう。

ロミオの友人ベンヴォーリオ役がのちに「アデルの恋の物語」のピンソン中尉役を経て「キリング・フィールド」の脚本、「ウィズネルと僕」の監督となるブルース・ロビンソンなのに驚く。
この時22歳で映画デビュー作らしい。

美術・衣装の古典美と、自由に若い俳優たちを動かし走り回らせる現代的な躍動感とが見事に同居している。

オリビア・ハッセ―の初登場から素早く動き回る横顔をしきりと望遠気味のレンズで捉えてプロフィールの美しさを描出し、さらに正面からのあどけなさが残る表情と豊かな胸(この時16歳ですよ)と余すところなく魅力を引き出している。

剣劇の立ち回りは坂道をつんのめるように駆け下りたり、広角気味のレンズの効果も秀逸で、シェイクスピアのセリフ劇としての性格を忘れさせるリアリズムを見せる。