おそろしくややこしい映画であることはさんざん言われていることだが、そのわかりにくさのかなりの部分は技術的な問題だと思う。
つまり時間を逆行させる装置というのが具体的にどういう形で、その作用が人に限るのか、人が触れる物なのか、物全般なのか、時間がしている逆行したら人間の意識も逆行して(メメントみたいに)消えたりしないのか、といった疑問がしょっちゅう頭に浮かぶことになる。
時間が逆行して同じ時刻が逆に再現されるところでその場面に出ていた人物の正体がわかるあたり、「現金に体を張れ」以来の時間巻き戻し再生映画のバリエーションであり、音楽でいう鏡像フーガみたいでもある。
よくこういうこと考えるね、と驚き呆れるのと、ん、今のどういうこと?と頭がストップする繰り返しとなる。
ケネス・ブラナーの悪役が好調。